36.あなたらしく
2021年9月9日
担当者さんから照明と電気の配線図について連絡がきた。
担当者さん『今日の予定でしたが、明日の午後お渡しできるように頑張ります。』
担当者さん『ご確認したい事がありまして、夕方16:30頃お電話してもよろしいでしょうか?』
私 『お好きなタイミングでどうぞ。10日も了解しました。』
担当者さん『ありがとうございます。よろしくお願いします。』
仕事を終え家につくと予告通りに電話がかかってきた。
私 「はいー。」
担当者さん「トイレの窓の位置なんですが……。」
確認したい事というのはトイレの窓の位置だった。
トイレの背面につく予定の窓。それを壁のどの辺りにつけるのか担当者さんと話し合った。
担当者さん「トイレの真後ろにつけるか、それとも、ずらしますか?」
私 「ちょっと、トイレの便器のサイズがわからないと何処が良いかわからないというか…。便器は中央じゃないからなぁ…私の間取りの場合。んーと……。」
私の家の場合はトイレの大きさがよくある1畳より大きめなので、便器は中央ではない。左よりだった。
私 「便器のサイズはわかりますか?」
担当者さん「……ちょっと、わからないですね。」
私 「ん-……、ああ。もしかすると便器の大きさわかならくても左右の長さ出るかも!確かトイレは1.2畳なんで背面の壁の長さが…。」
担当者さん「1136.3mmですが、内寸はそこから120mmのの柱のぶんとボードのぶん25mm引いて、991.3mmです。」
私 「私の頭だと小数点まで入ると処理しきれないので、991mmで計算します。」
【トイレの上からみた図】
この間取りの情報から、窓の種類と壁の長さがわかっているので、便器の真後ろに窓を持ってきた場合の窓の右側と左側の長さが出ると考えた。
私 「トイレの窓のサイズ、横の長さは何ミリですか?」
担当者さん「640mmですね。」
私 「はい。便器の位置は通常の左側の壁から380mmと私が指定しているプラス30mmの位置にきます。それを壁の長さ991mmから引いて……ですね。」
担当者さん「・・・・。」
私の答えが出るまで黙って耳を傾けてる様子だった。
計算を頭の中で組み立ててみる。たぶん出ると思った。
(991-380ー30で…”581”。便器の中央は右から581mmだ。これから窓半分の長さ320を引くと…”261”。右側が261mmの壁。)
私 「右側が261mmの壁です。左側が380+30で410から窓半分の長さ320引いて90mmです。」
ようやく壁の長さが出た。
担当者さん「いえ、違うと思いますよ。175.5mmです。」
私 「え?なんで?」
担当者さん「いや、そうでしょう。半分だとしたら175.5mmです。」
割と強気な姿勢で言ってくる担当者さん。
私 「いいえ、違いますね。右、261mmです。」
私だって間違いないと思っている。
担当者さん「いや、計算して175.5mmになりますよ。間違いなく。」
担当者さんも強気の姿勢を維持。
私 「担当者さんの答えと数に差がありすぎて、私の計算ミスとかじゃないですよね。どういう事で…!?」
押し問答は終わらないだろうなと思えた。
担当者さん「・・・・伝わらなくて残念です。」
(がっかり気味…なんで!?)
担当者さんのトーンの落ちた声に、がっかりされてるのは私が原因かと思った。
私 「それは、私が理解できないので”残念”なんですか?」
こんな時いらないプライドが邪魔をしてはっきりものを言って聞いてしまう。
担当者さん「違います。私のお伝えする力がなくて〇〇さん(私の名前)にご理解頂けなくて残念だということです。」
言ってる言葉は優しいのに、疑念が表立つ雰囲気を感じる。
(なんという不穏な空気感・・・・。)
担当者さんと私に流れる不穏なこの感じを消したくて、明るい声で笑いながら言う。
私 「私の出した答えが合ってると思いますよ。」
全く噛み合わないまま電話をきった。明日担当者さんが来ることになっているので、その時に話し合う手はずで。
(´-ω-`)だって、違うもん…。
私の答えが正しかったと証明するため、LINEした。
私 『261!あしたよろしくお願いします。』
この数字を覚えておいてもらう。明日正しかったと判明するはず。
担当者さん『よろしくお願いします。』
さらりと返ってきた。
2021年9月10日
担当者さん「お世話になっております。教えてください、洗面台の照明、シーリングですか?」
突然、担当者さんから電話がかかってきたかと思うと急いだように質問が飛んできた。
私 「シーリングだと思いますけど、えっと、待ってください、今カタログを送りますから。」
担当者さん「シーリングかどうかだけで結構です。シーリングでいいですよね?」
口調は珍しく厳しい。
私 「たぶん、そうだと思いますが…どうすればシーリングかどうかってわかるものですか?」
担当者さん「直結かどうか……。」
私 「直結?どこに書いてあるんですか?」
担当者さん「シーリングですよね?」
私 「・・・・はい。シーリングで。」
最終的に担当者さんに追い込みをかけられて、答えてしまった。
シーリングかどうかわかってないのに。
(どうしたって、あんなに問い詰めたの…?)
想像してしまう。
(ー"ー;)イライラ
こんな顔してる。
同日15:00。
担当者さんアパートに現る。
私 「コーヒーでいいですか?」
担当者さん「結構です。この後用事もありますから。」
今日の担当者さんは朗らかな空気がほとんどないなと思った。
(´-ω-`)しょぼん…
私 「担当者さん、昨日の壁の続きなんですが。ここに私が計算したものを書きました。これでわかってもらえると思います。」
担当者さん「はい。」
【私の計算の図】
担当者さんに図を見せながら計算して説明した。
一通り伝えたが納得しましたという言葉より説明が担当者さんから入る。
担当者さん「私はこう…考えてました。」
【担当者さんの考えてたこと】
私は便器を部屋の中央に置かない前提で計算をし、担当者さんは半分という私の発言から便器が中央にきた場合の計算をしていた。
担当者さんに私の希望が伝わってなかったようだ。
根本的解決をした所で改めて、細かな数字の変更を伝えながら担当者さんが書いていった。
【正書】
担当者さん「中央が430mmに変更になりましたので、そこから65.65mmの…。」
私 「65.65ってどこから出てきた数字ですか?」
担当者さん「部屋の本来の中央495.65から430引くと65.65mmが出ますので。」
私 「ああー、そんな考えもあるんですね。思いつきもしない。さすがに…凄いですね。」
担当者さん「そんな事ないですよ!」
担当者さんから満面の笑みがこぼれた。
よく漫画で使われる表現の……。
ぱぁぁー!(*´▽`*)
というものが現実にあったとしたらまさしくそれだと思う。
声のトーンも1オクターブ上がった明るい調子であった。
担当者さん「とすれば……あ、字間違った。いや、大丈夫か?」
軽快な独り言とともに打合せシートにトイレの変更点を記入していく。
(突然、テンションアップ…。)
持って来てくれた照明とコンセントの配置図の簡単な変更点を説明する担当者さん。
担当者さん「ちょっと、そちらを…。」
遠くに積み重なってるカタログに視線を送りながら話したので、取って欲しいという事だと思ってカタログに手をかけた。
担当者さん「私のこれが合っていれば…。」
担当者さんに手渡しした。
担当者さん「よしっ!」
受け取りの掛け声も軽やかにカタログをパラパラとめくる担当者さんの手。
担当者さん「ダウンライト、717ページですね?それの261…。」
軽快な独り言のようなトークは終わらない。
(65.65mmの件で感心してから、なんというテンションの変わりよう…。)
2021年9月13日
私は休暇中だった。朝一、担当者さんに電話での相談をお願いした。
私 「寝室の照明について、相談させてください。お時間取れそうなら教えてください。」
担当者さん「のちほどこちらからご連絡します。」
数時間後、電話での打合せをした。
会話の中で今度行う上棟式の神様の話が出た。
担当者さん「上棟式の神様は女性の神様なので、〇〇さん(私の名前)は中に入れません。ご了承ください。女性が入ると嫉妬するという言い伝えがあるんです。」
へーと思った。と、同時にこうも思った。
(なんじゃ、その女の神様。嫉妬ってなによ。)
相手の女性を嫉妬させない為に合わせなきゃいけない事に、同じ女性として従いたくない感情が湧き出る。
思わず、担当者さんに神様への暴言を吐いてしまった。
担当者さんは否定も肯定もせず聞き、少しやり取りがあってから電話を切った。
切った後で、ふつふつと後悔が出てきた。
(神様への暴言のせいで、家造りに災難が起きたらどうしよう・・・・。)
すぐに担当者さんにLINEした。
私 「上棟式の女性の神様、切り捨て発言は暴言でした。反省。。。神様、怒ってないですよね?」
担当者さん「怒ってないと思いますよ。神様はそのぐらいで怒るような器の小さいお方とは思えないです。」
すぐに返してくれた優しい回答。
私 「ありがとうございます。大工さんと担当者さんと施主の主人の無事を私からも神様にお頼みします。…神様、ごめんなさい。」
担当者さん「ありがとうございます。」
神様への謝罪のLINEでさえ真面目に答えてくれる担当者さんは、そう世の中にいない気がする。
私の担当者さんは機嫌を損ねたり上がったり。
だけど相手を包み込むような優しい人。
そのままのあなたでいてほしい人。