私の家ができるまで

新築建築までに起きた出来事 

44.内装屋さん

                                                                  

2021年12月16日

今日の打合せはいつもの工務店ではない。

工務店より依頼されている内装業者と打合せ。

 

内装屋さんの社長と家のクロスについて相談に乗ってもらおうと事務所を訪れた。

 

私    「本日はよろしくお願いします。」

内装屋社長「ええ、どうかよろしくお願いします。」

丁寧な挨拶と共に名刺をいただく。

社長の隣には一人の女性がいた。事務員さんか奥様か。

 

工務店から借りてきたクロスのカタログを広げ、自分の選んだクロスについて社長に聞いていった。

私    「トイレはこれとこれで、あとアクセントクロスでこの面に…。」

内装屋社長「なるほど。うん、いいと思いますよ。」

私    「寝室は、やってみたいという気持ちから、一間の真ん中に帯状にこの英字のアクセントクロスをと考えてまして。そしてその奥のこの面に同じような色合いの無地のアクセントクロスがどうかなと。」

内装屋社長「ええ、なるほど。このアクセントクロスだと結構薄く色が出ますね。」

私    「ああ、そうなんですね。ぼやけてしまうって感じでしょうか?」

内装屋社長「そうですね。とすれば…うーん、こっちのカタログにないかな…。」

事務所に置いてある沢山のカタログを幾つか取り出して、合うクロスを探してくれた。

私    「社長ならどんな色、クロスがいいと思いますか?」

内装屋社長「これとか…ですかね?あとこれなんかもどうかな?」

見本の為、数枚取り寄せていたクロスにカタログの見本色をくっつけて、考えてくれる社長。

私    「濃いですね。でも社長が言うなら…。」

内装屋社長「薄めの色だと、こんなポップ雰囲気ですし、濃い色合いだと落ち着いた印象のようなものがでますね。」

社長は意見は出してもお客さんの意思を尊重しているようなやり取りだった。

内装屋社長「とりあえず、これとこれの見本を取りましょう。」

私    「はい。」

やはりそこは住む人が決める所だと私も思うところ。

私    「メールでも質問したんですけど、天井と壁のクロス、リビングだと変えたほうがいいでしょうか?それともそのままのほうが広く見えたりしますか?」

内装屋社長「そうですね、このクロスならリビングは別のもをしたほうがいいでしょう。」

私    「はい、わかりました。そうすればメーカーからおススメされたこのクロスにします。脱衣室の壁はこのクロスですなんですが、天井は…?」

内装屋社長「脱衣所は同じで大丈夫だと思いますよ。寝室も同じで大丈夫かと思います。」

私    「ありがとうございます!そうなんですね。」

悩んでいた天井のクロスがサクサクと決められていけて、有難い。

 

(さすが、内装屋の社長だ。アドバイスが早くて、迷いない。聞いているこっちの安心感、半端ない。)

 

どんどん決まるクロス。

私    「ここの洗面台なんですが、普通は鏡とセットですが私は既製品は付けずに、この鏡をつけようと思ってて。」

写真を見せた。覗き込む社長と傍らにいる女性。

私    「どんな感じに配置にするかというとですが……ちょっと、描きます。」

書類の裏面に洗面台の正面から見た立体図を描いた。

私    「こんな感じです。ここは照明ですね。ここにパネルがきます。」

内装屋社長「30㎝?」

私    「え!?」

内装屋社長「ん?40㎝かな…?」

!!(*''ω''*)

私    「そうです!!ここは40㎝の予定です。なんでわかったんですか?凄いです。」

社長は照れたような穏やかな笑みをみせた。

内装屋社長「ええ、たぶんそうでしょうと思いました。」

 

質問からの答え以上のスピードで、社長は家の内装について教えてくれる。

こちらの望みが手に取るようにわかってるかの如く。

 

(凄い社長に合った。今日の打合せは本当に必要だった。今日がなければ良いクロス選びはなかった思う!)

 

良い家造りにまた一歩近づいたかと思うと、心の充実感が高まる。

何より目の前で見た、仕事のプロが出す経験に基づいた意見。

そのプロの見識と交わす私の言わんとする家造りの形。

 

(凄い。嬉しい。)

 

ひとり心興奮気味の私に、描いた洗面の絵を見て社長の傍らにいた女性が言った。

女性   「とても上手いですね。この絵がわかりやすかった。パースか何かをやってるんですか?」

私    「・・・・いえ、何も。」

突然褒められたので、照れが出る。言葉はボソボソと出てまう。

でも、嬉しかった。

絵を描くことは好きだった。

好きだった事やこれまでやってきた事、どこで生かされるかわからないなと、最近思うことが多い。

 

「お前がやってきたこと、必ずどこかで生きてくる。」

 

これは昔、父が言った言葉。

あまり好きではない父だが、言葉は正しかったと思う。

 

女性の方にペコリと頭を下げる。

私    「ありがとうございます。」

 

 

お礼を言って内装業者の事務所を後にする。

帰り道の車をルンルンと運転する。

(楽しかった。何よりクロスに最高の選択をもってこれた。そしてさ。)

 

(社長、ちょー格好いいんですけど!!)

 

初めて会った瞬間、何に度肝を抜かれたというと、そこだった。

着ていたファッション、スタイル、顔立ち…超イケメン社長だった。

 

 

2021年12月21日

夕方。作成した照明の位置の図面を受け取りに担当者さんがアパートに訪れた。

担当者さん「クロスの方はどうですか?内装屋さんの社長と打合せしたんですよね?」

私    「はい。ほぼ決まってきてます。また見本を取ってきてくれたりして。」

担当者さん「そうですか。」

私    「社長さん、凄くいいアドバイスをくれて、本当に即答だし適格に案くれるしで、本当に行って良かったです。社長に聞いてもらえて助かりました。他のお客さんは内装屋さんに直接相談してますか?」

担当者さん「いえ、いないですね。」

私    「うわー、もったいないですね。行けばいいのに…。社長もお忙しいのでそこん所は社長さんの御都合もあるか…。でも、聞いたほうがいい。素人ではわからない事ある。」

担当者さん「そうですね。」

私    「担当者さんはいいお仲間というか、心強い方々がついてますね。」

担当者さん「ええ、支えられてなんとかやってますよ。内装屋さんの社長とは前社長からのお付き合いです。」

私    「そうなんですね。」

玄関先で会話が弾む。

担当者さんが言った。

担当者さん「あの社長、格好よくなかったですか?」

私    「だから!凄いイケメン社長でしたよ!会った瞬間、こんな絵にかいたようなドラマに出てくるようなイケメン社長っている?って思いましたよ。」

担当者さん「(笑)ですよね。あの社長、女性受けいいんですよ。」

私    「あの容姿ならそうですよね。しかも仕事も出来るし、凄いな。」

担当者さん「・・・・ね。」

私    「でも、私のタイプではないな。格好いいけどさ。」

担当者さん「何ですか!?それ!」

私の言葉に担当者さんは顔をくしゃっとさせて笑っている。

 

 

2、3日前。

内装屋さんの社長が今度来る時は是非ご主人も一緒にと言ってくれたので、夫婦2人で事務所にお邪魔した。

クロスの最終決断を社長の事務所でおこなった。

帰り道、私の運転する車の中で、夫がおもむろに言った。

 

夫    「社長、格好よくね?」

 

 

だから。

 

みんな同じことばかり言ってる。

 

 

 

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