42.追及
2021年11月20日
同級生に窓枠の取付について相談した。同級生は工務店を営んでいる。
私 『1月中旬、完成予定なんだが、窓枠を入れるの12月13日頃なるらしい。遅くないかと思ったんだがどうですか?』
そこから数10分後に電話が鳴った。
同級生だ。
同級生 「おう、また面倒なことなってんじゃねーか。」
少し笑いながら話出してくれた。
私 「だから。あはは。」
この状況、笑うしかない。
同級生 「窓枠だと工程からいって先に行うほうだ。遅い。担当者の責任だ。納得できてない事は言えよ、ちゃんと。」
私 「うん、ありがと。」
この同級生はいつも背中を押してくれる。この家造りにおいては何度言葉をくれただろう。今日も電話をくれるとは思っていなかった。
嬉しかった。
小一時間ほど付き合ってくれ、電話を切る時に同級生は言った。
同級生 「俺はその担当者とは合わねぇ。」
ぶっきら加減に言うこの言葉もまた、コイツの深い思いを感じてしまう。
(本当にありがとう。)
2021年11月22日
20日の夕方にLINEをしてから今日のお昼になってもアクションはない。
うんともすんとも・・・・。
(なにか一言返してくもれていいだろ・・・・。)
居ても立っても居られない私はお昼休み時間に電話することにした。
私 「お世話になってます。お疲れ様です。」
担当者さん「…お疲れ様です。」
2日ぶりに聞く担当者さんの声は死んでいた。いや、死にそうなか細い声。
私 「ちょっと確認したいことというか、聞きたいことがありまして。」
担当者さん「はい。」
テンションだだ下がりの薄暗い声から察するに、担当者さんは機嫌が悪いか、バツが悪いかのどちらかだ。
(そんなの気にしていられない。言う。)
私 「10月30日、31日の構造見学会がありましたよね。」
担当者さん「はい。」
私 「そこから今日まで3週間はたってますが、その時から今で私達の家の何の工事、作業をしましたか?」
まずは慎重に状況確認。
担当者さん「…お風呂場の設置と、材料の加工……などです。」
私 「私は建築を知らないのでよくわからないかもしれませんんが、見た感じ構造見学会からあまり変わってなくて…本当はもっと進んでるところじゃないですか?」
担当者さん「…はい。」
遠慮して施主からの意見に合わせてくれるかもしれないと思った。
私 「本当にそうですか?私に合わせてるのではなく?」
担当者さん「いえ、本当です。」
きっぱり言う担当者さん。機嫌でなく、バツが悪いということだろう。
私 「もう少し進んでいてもいいと思います。何故進んでないのですか?」
担当者さん「本当に申し訳ありません。」
私 「主人、たまたま見に行ったら現場に誰もいなかったって言ってましたよ。他の何かをやっていて私達の家がストップ状態なんですか?」
担当者さん「言い訳になってしまうかもしれませんが、飛び込みで小さな仕事が幾つか入っていてそっち大工さん達が行っていたり、あと棟梁と冬業務の話し合いとかをしたりしなくてはいけなかったので。」
私 「はっきり言って、他の工事は施主には関係ないです。こちらの方が先だったでしょう。後からきた仕事うんぬんは理由になりません。」
担当者さん「はい。その通りです。申し訳ありません。」
私 「冬の業務も決める事は必要かもしれませんが、だとしても進まなさすぎませんか?」
担当者さん「…はい。すみません。」
私 「外壁も物は入っているって1ヵ月ぐらい前には言ってましたよね。」
担当者さん「…はい。」
私 「外壁を張るのは大工さん達ではなく、業者の方だと言ってたので、それは進められるところじゃないですか?」
担当者さん「…はい。そうですね。」
これ以上担当者さんと話していても、謝ることしか返ってはこないだろうと思えた。
私 「遅れた工事はこれから取り戻していけばいいとして、カーテンレールの窓枠については急ぎ行いたいのでいつになるか連絡ください。」
担当者さん「はい。わかりました。」
最期まで担当者さんの声はダダ下がりの声色であった。
その日の夜遅くにLINEがくる。
担当者さん『窓枠の件ですが、12/10(金)までには取付しますのでよろしくお願いいたします。』
(いや、ちょっと待って。何も考慮されてないじゃないの!?)
工事が遅れた事実は認めて謝ってくれたから、希望の窓枠設置は早くに進めてくれると思っていたが、結局最初の日にちと変わらない。
LINEで返す。
私 『10日より早くできませんか?これは正直な要望ですが。これまで遅れた事も私の中では納得いってません。』
担当者さん『ではいつがよろしいですか?』
私 『来週末の前までには済ませてほしいです。』
担当者さん『大工さんと相談させてください。』
その相談の回答すらいつになるのかと不安要素になっていた。
早急な物事の解決を畳みかける。
私 『いつに答えがでますか?時間は限られているので焦りがでます。』
担当者さん『明日連絡します。』
その後、窓枠は次の日にはつけてくれると連絡がきた。
2021年11月23日
朝早くに担当者さんに電話した。
大工さんと話させてほしいとお願いした。
(私の家への熱い思いを知ってもらえれば、大工さん達に施主の我がままだとは思われないで済むはずだ。)
私に宿った不安だった。現場の方々へ無理強いさせて工期を早めてるとは単純にとらわれたくなかった。
その後、すぐにLINEで返答がくる。
担当者さん『本日の打合せ、13:00~現場でお願いします。窓枠は仮付けですが付けておきます。』
その日の午後。
現場に行くと担当者さんと棟梁が2人、待っていた。
棟梁は工事の遅れをいの一番に伝えてきた。
棟梁 「言い訳になってしまいますが、10日頃までもう一つの現場の区切りをつけ、一気のこちらの現場を全員で仕上げていく予定でした。大工不足というものもあり、中々予定通りに進んでいけてない状況です。申し訳ありません。」
担当者さんは何も言わず、側で黙って聞いている。
私 「はい、そうですか…。」
棟梁 「これから残業してでも仕上げていきます。あとは大工を増やしたりして、何とか期限まで造っていきます。」
棟梁は懸命に説明を果たしてくれたのだと感じた。
その裏にあるのは、現場の責任や施主への誠実さより別のものが見えるようだった。
(担当者さんをかばっているんだろうな。)
担当者さんの親のような同志のような存在に見えた。
(参ったな。私が何を言っても棟梁には響かないでしょ。施主の家への熱い思いを語っても棟梁は担当者さん行動に合わせて動く。)
とりあえず私からも今回何故現場の棟梁と話したかったのか、その理由を伝えた。
棟梁はわかりましたと言ってくれ、その後少し家の話をした。
今日は、担当者さんに強力な味方がついていると思った日だった。
私以外に。