47.完成見学会①
2022年2月4日
今日、私の家を見に某大手企業さんの方がお見えになる。
家関係の企業の営業マンさん達。
これは誰にも知られたくなかったので、担当者さんにLINEしといた。
私 『本日、17時より新居を貸し切りとしますので、担当者さん、どうかご配慮を🙇』
担当者さん『了解しました。時間あれば取扱説明書関係書類回収しておきます。』
(よし!これで準備万端。安心だ。)
約束の30分前に新居に到着すると見慣れた車がある。
(担当者さん、何でいるの!?)
中に入ると、担当者さんが出てきた。
私 「担当者さんな何でいるの?今日は貸し切りって…。」
担当者さん「書類回収しに来ました。わかってますって。今帰りますから。」
笑顔で返されるが、こっちは焦っていた。
担当者さん「貸し切りなんて言うから何かと思いました。誰が来るんですか?」
私 「それは……言えません。」
担当者さん「何それ!?」
ちょっとムスッと返す担当者さん。
(私だって担当者さんに隠し事なんてしたくないのに…。こればかりは仕方がない。わかって、担当者さん。)
なんとか担当者さんも帰ってくれ、秘密の私のお客様は新居を見て、そして笑顔で帰って行った。
(やれやれ。担当者さん、私のする事に関心を持ってくるのは嬉しいけど。)
2022年2月5日
我が家の完成見学会開始。
(待ちに待った!)
私にとって、この日は本当に楽しみにしていた日。
後から会社の人が、私のディスクに貼った完成見学会のビラを見て言われたんだけども……。
「完成見学会って、普通1、2日ぐらいじゃないの?5日間もやるの何で?」
(やはり多かったのか…。)
実はこのスケジュールは私が工務店に希望して叶えてもらった事だった。
多くの人に観てもらいたかったから。
今日から土日祝の5日間、担当者さんを我が新築に拘束する事となる。
(ちょっとそれは申し訳ないけど、担当者さんなら承諾済なはず。)
午前 10:30
担当者さん「すみません。明日予約予定のお客様が来てしまって…。」
電話がかかってきた途端、担当者さんが言った。
話を聞くと予約時に確認メールを返した際、誤った曜日を入力してしまったという事だった。
(開始そうそう、担当者さんらしいな。)
思わず笑顔になる。お客さんも怒った様子などもなく、新築を見学していったという事だったし、まあ良かった。
午前 11:00
私の姉夫婦が見学しにきてくれた。
姉 「このキッチンの照明のとこ、いいね。格好いい。あ、パントリー!これは必要。いいね。トイレには上の方に棚あった方が絶対いいよ!トイレットペーパーとか置くのに。」
姉の夫 「暖かい家ですね。へー、今って掃き出し窓床についてないんですね。家だと結露しちゃってて大変になってるんだけども。いやぁ、いいですね、新しい家。」
元大工さんである姉の夫は詳しく担当者さんに構造体の話を聞き込んでいた。
構造体の話を高らかな声で意気揚々と説明する担当者さんを眺める。
(担当者さんは本当に、家の性能、構造について自信と興味がある人だな。)
姉夫婦、猛吹雪と雪壁の中、ありがとう。
2022年2月6日
今日は一組、一般のお客さんが予約しているという。
私は予定があったので、新居には担当者さんだけが在中となった。
電話でやり取りする。
私 「すみません私が5日間もやりたいなど言ったので、担当者さんの時間を奪ってしまって。今日は行けませんがよろしくお願いします。」
担当者さん「大丈夫ですよ。360度カメラで撮影したりパソコン作業したりしてますんで。」
(担当者さんはほとんどのお願いは聞いてくれる。嬉しいな。)
2022年2月11日
午前 10:00
私がお世話になってる馴染みのエステの方がご家族で来てくれた。
エステの方「わー、いいですね。こっちはお風呂?あ、いいなー。」
旦那さん 「うん、いいね。」
エステの方と旦那さんのほんわかムードにこっちもほんわかする。
エステの方「これ、ちょっとなんだけど……、はい!」
私 「ああ!私の好きなラベンダーのオイル!ありがとうございます。」
担当者さんとエステの方は何かを話し始めていた。
私はごそごそとひとり裏で袋を開ける。
担当者さん「早速開けてますよ。」
ひとりラベンダーの香りを嗅ぐ私を見つけた担当者さんがおもむろに言うと、その場で皆ふふふと笑いあった。
(担当者さんの親しみを感じるいつもの接し方、素朴でいいな。)
午前11:00
私の会社の仲良し達が見に来てくれた。
会社の先輩「ちょっと、ここの寝室にミラーボールでも付けたらどう?そして壁はピンクに。ウォーターベットもいいかもな。」
会社の後輩「いいですね。照明とかもピンク…。」
バカなノリで楽しませようとする先輩とそれに合わせる後輩。
会社の先輩「あ、ベットは丸でもいいんじゃない?」
担当者さん「回ったりして、ですね?」
会社の先輩「そうそう。」
私 「担当者さんまで合わせなくていいんですよ!」
皆でとんでもない事を言いながらも面白く、笑い合って盛り上がる。
(私の知り合いの人にもこうやって話を合わせてくれる担当者さん。世間を渡る大人なスキルも持ってるよなぁ。)
午後 14:00
地元の中の良い友だちがお母さんと見に来てくれた。
友だち 「いいじゃーん。私この照明のとこ、好きだよ。うん、このお風呂の部分、正解。掃除しやすい。」
私 「あざーす!(ありがとうこございます)」
友だち 「母さんは、このトイレのクロス良いってよ。」
私 「どもっ。母さんに褒められた!」
友だちと私できゃっきゃと話している脇で、友だちの母さんは担当者さんと話していた。自分の家について聞いているらしい友だちの母。
友だちの母「うちを建ててくれた工務店さがね…それで…言われてね。」
担当者さん「ああ、なるほどですね。それはですね…。」
(他の家の問題点もしっかり聞いてくれてる。担当者さんは人を受け入れる人だよなぁ。)
午後 15:00
工務店を営む同級生が奥さんと2人で来てくれた。
この家造りで何度も相談にのってくれたヤツだ。
同級生 「おう、いだがー?」
私 「いだー。上がれー。」
(ふふふ。この会話、昔みたい。小さい頃からずっと一緒だった同級生。私の幼馴染の男。)
同級生 「おう、これ。」
ぼんっ置かれた観葉植物の鉢。
私 「パキラ!ありがとう。」
同級生 「水あげすぎたりすんじゃねーぞ。枯れっからな。」
私 「うん。」
ぶっきらぼうで、私への物言いは若干乱暴なんだけど、コイツはどっか私に優しい。昔から何故か側にいた。
遅れて外にいた担当者さんが中に入ってきた。
担当者さん「私、工務店の…。」
名刺を差し出し、同級生に挨拶をする担当者さん。
同級生 「ああ、そいうのいらねーから。」
近づいた担当者さんを一蹴する同級生。
(;´・ω・) (`^´) (◎_◎;)
見ててハラハラする。
(険悪なかんじだ・・・・。頼むから仲良くやってくれよ。)
同級生と担当者さんは家について話はじめた。専門的すぎてついていけないので、同級生の奥さんと私は家を2人で家を見回る。
奥さん 「この壁紙、とってもいいねぇ。見た事ないな。これ、とっても好きだなぁ。」
私 「あざーす!(ありがとうございます)」
奥さん 「こういう葉っぱの壁紙はアクセントで使うのは見た事あるど、この英字のは見た来ない。ここ、凄くすきだな。」
私 「工務店の事務員してたりだから家も何件も見てきてから…。へー、そうなんですね。」
奥さんと担当者さんと同級生のいる所に戻ると何やら、真剣に家について話し合っていた。
(なんか、打ち解けて共感したりしてる…?)
同級生 「お前の家はほんと、こだわりが詰まった工務店泣かせの家だな。大事にしなきゃダメだぞ。」
自然と顔がほころんでしまう。これ以上の褒め言葉なんてあるんだろうか。造ってきた人を労った言葉があるだろうか。
しかも私がいかにこだわったり考えたりして作ってきたのもわかってくれてる。
同級生 「この担当者の人に、100万ぐらい包んだほうがいい。」
あんなにつっけんどんだった同級生が担当者さんを高く評価してくれている。
冗談まじりにも相手を気遣う発言に、担当者さんも私も笑った。
その後、帰っていった同級生と奥さん。
見送った担当者さんと私は新築へ戻る。
担当者さん「同級生の方、強面ですがとってもいい人ですね。」
私 「うん、でしょ。いいヤツ。」
担当者さん「はじめすんごいヤ〇ザみたいな怖い人がやって来たんで、怖くて家の中に入れなかったですが。」
私 「それで、なかなか来なかったんですか!?」
担当者さん「はい。怖っ!っと思って。」
あははと2人で笑いあう。
もうこんな風に家造りで担当者さんといられる時間はほとんどない。
永遠に続けられたら楽しいのに。