43.こんな家造りもある
2021年11月29日
新築現場にやって来た。
ゴタゴタしながら話し合ってきたカーテンレールの取り付けについて、ようやく今日答えがでそうである。
私 「本日はよろしくお願いします。」
はじめに販売店のカーテン採寸係の方に丁寧に挨拶し、そのまま中で待っているエアコン業者の方と担当者さんへ挨拶した。
採寸係 「これですね。」
取り付け予定の大きな窓に向かい、採寸係の方はメジャーを取り出す。
エアコン業者「取り付け予定のエアコンの大きさにカットした段ボールを持ってきました。予定ではこのようにつきます。」
採寸係 「はい。わかりました。凄いわかりやすいです。」
私 「この下にエアコンの羽がきます。」
採寸係 「羽はどんなふうに?」
エアコン業者「ここのあたりから…。」
担当者さん「羽の出(で)、116mmですね。」
採寸係 「羽はどのように?」
担当者さんはガサゴソと大きな段ボールを開けた。そこには実際取り付け予定のエアコンがあった。現物を見て、羽の動きと長さを採寸係の方へ説明する。
採寸係 「ああ、なるほど。」
採寸係の方は窓枠の周辺を測り、そして近くで見守る私に向いた。
採寸係 「ご希望のレールはどちらのタイプですか?」
私 「本当は手前だけ輪っかのものでしたが、難しそうなのでもう一つのほうを考えてます。」
採寸係 「大丈夫ですよ。十分取り付けられます。」
(え!?)
採寸係 「逆にもう一つの方が難しいかもしれませんね。そのご希望のレール大丈夫ですよ。」
(この方は・・・ヒーローですか!?)
窓枠を目の前にした途端、躊躇なく測りながらエアコンの内容を落とし込んでいき、出た回答は早いものだった。
これまで悩み諦めかけていたレールをこの方は大丈夫だと太鼓判を押した。
私 「良かった。ありがとうございます。うれしいです。」
採寸係 「ご希望のレール、輪っかが手前のみの、そちらの方がすっきりしていておすすめですよ。」
そしてそのまま、隣の取り付け予定の窓も測りだす採寸係の方。
採寸係 「こちらはどちらにカーテン止めを?できれば開閉側でないほうが汚れませんよ。」
私 「実はこっちはカーテンを止める際、このようにリボンなどでどうかと考えてます。どうでしょうか?」
採寸係 「なるほど…、いいと思いますよ。」
私 「はい。ありがとうございます!」
最後、三つ目の窓へ行き担当者さんから脚立を借りて立ち上がり、メジャーを伸ばす採寸係の方。
そのメジャー捌きは美しくて早く、ピンポイントで焦点を捉える。障害物が目の前にある建築途中の建物内の採寸をそれはそれは手早くこなしていく。
恋心があるわけではないが、きっと私の目は。
😍←こうなっている…。
(なんだこの方は。私の欲しい夢や希望を次々叶えていく。それも格好よく。)
採寸係の方が採寸している後ろで、担当者さんが私に耳打ちしてきた。
小声であった。
担当者さん「カーテンの脇のフックいります?」
今しがた採寸係の人がすすめてくれた両脇のフックについて自分の意見をぶつけてきた。
小声で返す。
私 「うーん、でもなぁ……。」
担当者さん「うちはクリップみたいなものをこうして……。」
迷う私に自分の家ならこうしてますと意見を押してくる担当者さん。
その顔はかなりいぶかしげな…。
(一一")こんな顔である。
その後も採寸係の人はカーテンはこういうのがいいですよとアドバイスをくれ、私が質問しても迷うことなくわかりやすく返事をしてくれた。
(来てくれてありがとうございます。このような方がいるとは思わなかった。)
今、感謝と感激しかない。
私 「ずっと希望だったレールが取り付けられるようになりました。本当に良かったです。ありがとうございました。」
去り行く採寸係の方へ自分の夢であった事を伝える。
採寸係 「それは良かったですね。ところで、キャンペーンの事は聞いてますか?今月中であれば可能ですよ。」
キャンペーンとは、今月中であれは通常の35%OFFでカーテンレールが購入できるというもの事。
(最後まで相手に有益を与えて去っていった…。)
エアコン業者、採寸係、共に帰る。
現場に2人だけになった時、担当者さんは言った。
担当者さん「エアコン業者の方に来て頂かなくても良かった気もしませんか?」
担当者さんと採寸係の方がいれば十分事は成せたという意見の様子。
(もう!担当者さんが呼んだんでしょ。)
と、突っ込みたい。
担当者さん「だけど、何かあった時の場合のことを考えれば呼んで正解ですか。」
独り言のように自問自答の担当者さん。
(この人は本当に・・・・。)
採寸係の方の話には自分の意見を出してきたり、この場においての必要不必要をうたったり。
(そんな担当者さんの反応、私は嫌いじゃない。)
何故なら、きっと誰よりも自分が役に立つ人間であろうとしている姿だから。
私の前で誰よりも出来る格好いい担当者さんを見せてほしい。
2021年12月6日
見積りを依頼していたが担当者さんはしばらくそのお願いを忘れていた。
それは1ヶ月ほど。
なので、一週間ほど前に再依頼した。
しかし回答がなかなか出ない。電話で聞いてみた。
私 「見積りどうなってますか?一旦どれほどかかってるか知らないと、今後検討できないんですが…。」
担当者さん「すみません。メールで依頼はしたんですが、まだ建具の業者の方から金額が出てなくてですね…。」
私 「だったら、今出てる分だけで大丈夫ですので、わかってる金額だけ入れて、先にください。」
担当者さん「えーと・・・・。」
私 「他はわかってるんですよね?」
担当者さん「すみません、まだデータまとめてません。」
私 「・・・・・。(怒)」
担当者さん「・・・・・。」
この瞬間、何だか思いっきり自由に生きてみようと思った。
私 「担当者さん、今、事務所ですか?」
担当者さん「はい・・・・。」
私 「今から叱りに行っていいですか?」
担当者さん「・・・どうぞ。」
元気ない声で、観念しましたと言わんばかりの返事が担当者さんから返ってきた。
車で急ぎ担当者さんの元へ行き、たまたま届いていたクロスの見本の巻物で反省モードで小さくなっている担当者さんの脇腹を攻撃した。
バシッ。
私 「反省して!最初に頼んだの1ヵ月前ですよ。」
担当者さん「はい、すみません。」
小さいまま謝る担当者さん。
さらに帰り際、担当者さんの記憶に染み込ませるため言う。
私 「歯を食いしばって!」
担当者さん「…はい。」
担当者さんの右の脇腹にパンチをした。
ブスッ。
私 「この痛みを思い出して、見積つくらなきゃいけないって思って!」
担当者さんは軽く自分の脇腹をさすりながら答える。
担当者さん「…あー、病院行かなきゃいけないかも。」
思わず2人で笑ってしまった。
次の日。
担当者さんからLINEが返ってきた。
そもそも見積依頼さえ建具の会社へちゃんと連絡がいってなかった…。
初めて担当者さんへスタンプを返した。
これが一番私の今の心情をあらわしている。
土地を買って家を建て始めてからもう7ヶ月となる。
未だ出来上がってない。きっと世にも珍しい家造り。