私の家ができるまで

新築建築までに起きた出来事 

4.売ってる土地はごくわずか

                                                                  

2020年8月

この先、どうしたら良いかよくよく考えこんだと思う。出来る事をやる、そう決意した。何故ならどうしてもこの工務店さんで建てたかったからだ。探したのは建築条件無しの土地だ。以前どこかで建築条件付きの土地だと建てる建築会社が決まってるため、購入の際は気を付けるようにと言われた事がある。そこを第一条件にし、探し出した。

まず、ネットなどで土地探しをはじめた。良いと思った土地はつかさず見に行ってみた。実際見て良い印象を受けた土地であれば夫を連れ出した日もあった。しかし、ネット上の土地というのは、あまり数はなく、どれも似た情報ばかりで目立ってるように感じる。

次に同じ地域の他の不動産を当たった。しかし、紹介してもらえたのは3件ほどで、今はこれしかないといった感じだった。土地の条件も自分達の見合ったものではなかった。

それから、地域の土地の情報がある空き家バンクを管理している役場へ出向いた。もしかしたら地元に密着してある公共機関にあるかもしれないと思った。数はそこそこあり、何件か土地の場所の情報をもらい、数日かけて見て回った。しかし買うにいたるほど決定的に良いと感じる土地は出て来なかった。

妥協して住みたくない土地に家は建てたくない。しかしこれ以上、自分達のやれそうな事はない。だからといってこのまま工務店さんの連絡を持ってもいられないだろうと、話し合ってみようと決意し連絡してみた。パソコンの方のメール返信が3週間経っても届いてないので、私達の事など忘れられてるかもしれないが。

 

担当者さん『私も、御紹介したい土地がありますので、打合せお願いします。早くて、明日はいかかでしょう?』

 

届いた担当者さんのメールは意外なものだった。なかば諦めていたので一気に気持ちが跳ね上がった。嬉しさが沸き起こる。

 

数日後、見せてもらったその土地は住宅を一件建てるにはとんでもなく広かったが、場所も辺りの雰囲気も私達の条件の通りであり、地元で有名な山が見える、のびのびとしたとても良い土地であった。

四方を田んぼに囲われ、ぽつぽつと近隣にいくつかの住宅がある、近くの道路は広く、直線に伸びていた。鬱蒼(うっそう)としたものも近くはない。夕方だからか沢山のトンボが飛び回っていて、指を一本かざすと一匹止まった。それを見た担当者さんは、「凄いですね!」と笑っていた。

土地を視察中、担当者さんから土地の価格について話が出た。広さの割に破格の売値であり、売主さんの固定資産税情報を担当者さんが教えてくれたが驚いた事に高くなかった。私達はこれならと喜んだ。

それが今、8ヵ月待ち続けている写真のこの土地だ。

その時、担当者さんに「よくこの土地を見つけましたね。」と言うと、「そういえばこんな土地もあったなと思い出しました。」と言っていた。

 

車に戻りながら、担当者さんは地域の定住者へ奨励金が出る取組みをしている役場のチラシを見せてくれた。この土地は空き家バンクにも登録されたのものであり、地元工務店で建てるため、より多くの奨励金がおりるという。その話を聞いて、実は自分達も何か出来る事をしようと土地の連絡を待ってる間、空き家バンクの利用登録しました。と言うと、「申し訳ありません、ありがとうございます。」と担当者さん。私達が同じ空き家バンクの中で見つけられなかったのは、とても広いため候補から外していたからだ。

3人で和やかに話し合い、終始笑顔だった。

 

私の記憶にある事で、この土地の散策中、固定資産税の話を受けながらの事だが。

一生懸命説明する担当者さんの肩にトンボが一匹止まっていて、指に止まるより凄くないかと心の中で思っていたが、担当者さんは気づかずに夢中で話をしていた記憶が残っている。

その時、勝手ながら何かが繋がったような気持ちになって眺めていた。

  

 

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