5.農地法と固定資産税
2020年8月
工務店さんから紹介を受けた例の土地は、田・畑といった農地なるものが付随した土地だった。通常新築を建てる際、宅地と呼ばれる地目(土地の種類のこと)に家は建つ。地目というのはいくつか種類があるのだが、私達の買おうとしている土地は大きな宅地の部分に隣合うように農地である小さな田の部分が2ヵ所、少し大きめの畑の部分が1ヵ所くっついていた。見た目にはただの広い土壌にしか見えないが、そうらしい。
おかげで土地は必要以上にますます広いのだが……。
初めて視察した日、担当者さんから田・畑と書かれた固定資産税の紙を見せてもらったせいなのか、家に戻ってから田・畑という部分が無性に気になっていた。
気になる事があるとすぐに調べる性質の私はネットで検索してみた。
(おや?農家でない者は田・畑は買えないみたい…)
調べるとその様だが、本当にそうかまでははっきり分からなかった。私は市役所の中にある農業委員会なるものに足を運んだ。
そこで聞いたのは現況地目と農地法というものだった。地目が田であっても現況の地目が雑種地となっている場合もあるらしい。その現況地目にもよるが、農地法により一般人の農地購入には許可がいると教えてもらった。
農地法に引っかかり、罰金を払うのも不正者となるのも大変困る。当たり前の段取りを踏んで確実に手に入れたい。不動産会社でもある工務店さんを疑ってかかるような事になり兼ねないが、やはり不安があるので担当者へメールで聞いてみた。
担当者さん『以前まではおっしゃる通りで購入できませんでしたが、法改正により宅地に付随する田・畑も購入できます。』
返ってきた言葉は法改正。農業委員会の方からそんな話は出てきてない。感だが担当者さんの発言がおかしい気がした。担当者さんを説得するために農業委員会の名を出して再度メールした。不安になってきたので数日中に調べるとのメールが返ってきた。まずは調べる所までし直してくれる事となり、ほっとする。家が建てられないことになるのはもう御免だ。家を建てたい一心だった。
2020年9月
その後担当者さんからの連絡により、やはりこのままでは購入できないとの回答をえた。許可がおりれば入手できると判明し、言って良かったと思った。
農振除外と農地転用、この2つの許可がこの土地の購入には必要となる。
2段階の壁。
まずは農政課より農振除外の許可を受ける。そしてそのあと農業委員会から農地転用の許可を受ける。それで初めてこの土地に家を建ててもよいと購入を認められる。
しかも農振除外は年に2回しか申請のチャンスはない。私達がこの土地の購入を決めたのは申請締め切りの前の月だった。
どちらの許可申請も売主と買主の双方の名をのせて書類提出となる。
農家でもない一般人が農地をすぐに買う事ができないことを知った。
あとは・・・。
固定資産税。
これも大変気になった。
土地が広いため、固定資産税が多くかかるのではないかと不安になった。あまりかかるようであれば、購入は出来そうもない。
これもいつものネット検索で調べた。
(あれ?宅地だと、減税される……?)
担当者さんから田・畑だから固定資産税は安く済むんですよと、驚くほどの低い金額を見せてもらって安心していたが、宅地であっても金額を抑えられるらしかった。算出された金額に、三分の一、または六分の一をかけてもらえるらしい。
目からうろこの朗報だった。
早速、担当者さんに確認すると調べてみますと返答がきた。
数日後、固定資産税のランニングコストが出来上がった。
【地目ごとの固定資産税と合計金額:宅地、田、雑種地の場合】
年間9,134円。
【地目ごとの固定資産税と合計金額:全て宅地】
年間13,711円。
(そんなに高くない。やっぱり減税もある。全部宅地でもあんまり変わらない。)
これで購入意識に更に拍車がかかった。