19.あなたの事情と私の事情
2021年2月18日
担当者さんから電話がくる予定だったが……来なかった。
夫と2人で外壁のカタログを見て相談しながらかかってくるのを1時間以上待ったが来ない。電話をすると、今日の約束を忘れてたらしい。
すっぽかされ、私は怒り爆発。
数日後、謝罪の電話が来た。話合って、怒り鎮まる。
2021年2月22日
アパートの玄関先でのこと。
担当者さんは先日の電話しなかった事を床に頭をつける勢いで謝ってきた。私が「いやいや、そんなに謝らないでください。」と制すと、立ち上がる担当者さんは「実は…。」と、切り出す。
担当者さんから告げられたのは、家庭の事情でこの先対面での接触が3、4日無理になる日が出てくるかもしれないという内容だった。次の打合せについては被らないとは思うが、もしかしたら日程をずらしてもらうかもしれないと言われた。
その内容を聞いた時、私は心から血の気が引く。
(今、大事な局面にきているのに何故このタイミング・・・・?)
5ヵ月待った農振除外の許可が今迫ってきている。
銀行の事前審査が3月で切れるのでもう一度しなければならない。
すぐに農地転用を行わなければならない。
(・・・・。)
私にとってこの家造りはとても大事なものだった。担当者さんが話したその事情は、私には到底理解できないものだった。
(家造りに入ってこないで。考えさせないで。・・・・私からその理由で家まで奪わないで。)
担当者さんにメールをした。
私 『先ほどはありがとうございました。今後の日程を考えてみましたが、重なり合う事が多そうで不安です。状況を伝えます。
主人は休みが既に決まってあり、20日まで動かせません。ローンも提出書類も主人でなければ出来ない事が多いです。事前審査は13日で切れます。が、新しい支店での借入条件がまだ満たしてないもしれません。手続中のもあります。3月に入ってからでないと事前のし直しはできないと釘を刺されてます。農転に提出する残高証明も残高を移動したりでかかわってきます。
申請書の捺印も2人で行う大事な事です。これらを(農転の)20日前までにこなさなければなりません。事前審査用紙は差し替えが出来るみたいですが、支店変更がからんであります。今の現状を主人にも聞いてみます。』
気がついたらが指がスラスラとケータイを叩いていた。現実を伝える事しか思い浮かばなかった。気づいて欲しかった、あり得ない担当者さんの持ち込んだ事態を・・・・。
私にとっては辛い現実がやってきたけど、どうにか乗り切らないといけないからと言い聞かせるようにして、心に平穏を取り戻そうとしていた日が続いた。
2021年2月25日
(担当者さんとの家造りをやめようか・・・・。)
担当者さんからあの時言われたワードがリフレインして心がザワザワする。仕事の帰り道、歩きながら考えていた。ずっと考えていたけど、担当者さんに伝えたメールの通り、今やらなければならない事をやっている。
2021年2月27日
事務所にて打合せ。以下話し合い。
- 農地転用、必要書類の記入
- 浄化槽設置
- カーポート配置 図面作成
- 外壁パース図作成
いつものように打合せは進むが、私の心はこの先どうなるかだった。担当者さんの家庭の事情がどこにやってくるのか?その時私は合わせて動かなければならないのか?合わせられなかったら、家造りに影響して・・・・嫌だ。
どうして私の家造りが担当者さんの家族に振り回されなければならないか!?なんでこちらが考えなければならないのか。
(・・・・私は心が狭いのか。)
そんな葛藤を起こしながら、このまま家庭の事情は知らずに終わり、知らさせることなく過ぎてくれれば良いと思っていた。担当者さんが対面出来ない3、4日が、打合せも農振除外にも農地転用にも何にも関わらければ、何もなかった事になる。そんな希望を抱いていた。
次回は農地転用の必要書類である住民票を揃え次第、連絡の事となった。
2021年3月1日
担当者さんからLINEがくる。
担当者さん『農政課の御担当者さんから連絡がありまして、来週中には農振除外許可証をお渡しできる予定です。との事でした。』
2021年3月4日
捺印を早めしたほうが良さそうだと思ったので担当者さんにメールした。
私 『今日、明日、7日、11日、どの日でも捺印しに行きますので、都合のよい日をご連絡ください。』
2021年3月5日
仕事終わり後、農地転用の申請書への捺印をしに夫と2人で事務所へ向かった。
農地転用の申請書に主人の印鑑が押される。
2021年3月6日
担当者さんが総予算提出書をもってアパートにやってきた。
お家に上がってもらい、外壁のサンプル画像の出し方を教えてもらった。
私達の家の外観がパソコンのイラストレーションとして出る。
私 「担当者さん、いいですよね?良くないですか?」
担当者さん「恰好いい家です。いい家ですよ。」
パソコンを両者眺めて頷く。
家を造る方と肩を並べて意見が合致できたこの瞬間、充実感で胸が膨らんでいた。
担当者さんはとあるハウスメーカーの展示会があるという情報を置いて帰っていった。
LINEで場所を教えてもらい、向かった。
担当者さん『内装の参考にしても良いと思いますし、UA値とC値の機密性をもって1フロア何帖用のエアコンを設置されてるかを聞いてもよろしいかと思います。私が見学させていただきました物件では教えてくれませんでしたが…。』
私 『見学?もしかして担当者さんと行けたかもしれなかった…!?』
担当者さん『偽装夫婦ですかね!!?(笑)モラルとしてさすがにそれは気がひけますね。』
私 『偽装…!(笑)夫婦でなくてもいいかと思いますが、そうでないと見学無理ですかね?』
担当者さん『・・・・取り乱しました。私と一緒に見学しに行くことは出来ないですね。』
展示会場に着く。一人で見学後、返信を担当者さんへ。
私 『困らせてすみません…。』
担当者さん『一緒に行ってしまったら、私が他社批判してしまいそうで…。壁掛けエアコンでしたか?』
私 『違いました。6畳用のエアコンで、UA値・・・・。』
(なんかスパイみたいだな、私。)
担当者さん『なんかスパイみたいなことさせてしまい、申し訳ありませんでした😭』
同じ事を考えていたのが面白くて笑った。
こんな親しい友達のようなやり取りは今までなかったから、嬉しかった。
2021年3月9日
農振除外通知書が発行される。
同日
事前審査も通る。
仕事の帰り道を歩いていると、正面から手を振って笑顔の担当者さんが車で現れた。
駆け寄る。
農振除外の許可が下りたその通知書のコピーをアパートに投函しにきた所だったらしい。
私 『聞きたい事とかあった時、連絡とかしても大丈夫ですか?』
担当者さん『…そうですね、レスポンス長くなるかもしれないですけどいいですよ。』
2021年3月10日
何かフラグのようなものが私の中で立った。
落ち着くまでお会いしない。
この事を担当者さんへLINEで伝えた。
担当者さん『お気遣い本当にありがとうございます。ご迷惑はかけられませんので、対面での打合せは難しいかもしれませんが、LINE・電話でのごれ連絡は遠慮せずにお願いしますね。』
(・・・・伝わらないか・・・・。)
私 『担当者さんが落ち着くまで、やり取りせずにしようと思います。万全になりましたら、ご連絡お願いします。お待ちしてます。』
担当者さん『こちらとしてもご迷惑をお掛けしないよう、努力してまいりますので、気軽にご連絡お願いします。また、事前通知の書類が届きましたら遠慮せずご連絡ください。』
(もう言い切ろう。通したい。)
私 『万全になるまで、やり取りしないと思ってます。』
担当者さん『了解しました。ありがとうございました。』
もうこれで余計な事を考えなくても済むし、私の意志も通すことが出来たと心が軽くなった。
私の家造りを関係ない人に振り回されたくはない。