20.担当者さんと私
2021年3月12日
おととい、担当者さんへ落ち着くまで連絡しないと言ったが、夫がこのやり取りを知らずに家造りの連絡を担当者さんへ入れてしまい、仕方がなくLINEする事にした。
中途半端な連絡をした事を謝り、そちらの事情が落ち着いてからの方が気にかけずに済むと思ったと伝え、最近の連絡のない事実を切り出した。
私 『ご連絡も、互いの考えも交錯し、家造りが難しく感じます。この状態がいつまで続くかこちらかは見えず大変不安になっております。』
担当者さん『事前通知に関してましては書面としていただけるものと私は捉えておりましたが……。』
私 『なぜ、そのような話が出て来ているかわかりません。互いに連絡さえ、ままならないですね。』
私としては体当たりのようなものだった。
これまで、担当者さんを強く責めた事はない。出会った当初の頃、打合せにご家族を同席してきた時も強い反感と憤りを覚えたが、気を使いながら言葉を選んでお話してきた。
今回はヤブレカブレに突っ込んでみた賭けだった。
担当者さん『お察し頂きありがとうございます。私のお伝えに不備等がありまして、誤解を招く結果になっておりますので、今まで通りご連絡も打合せ日程も予定させてもらいます。ですが、急用の場合は変更、順延させていただきますのでご了承ください。』
(ダメだ。結局、都合をきくのはこっちじゃないか・・・・。)
私 『一度お電話で直接お話しできないでしょうか?都合の良い日時が決まりましたらLINEください。こちらも時間を用意する必要がありますので。』
担当者さん『わかりました。お仕事終わり次第電話ください。』
長い時間、電話で想いを伝えた。
自分としてはこの家造りが大事なので、汲み取ってほしいと主張できた。そして今は担当者さんの事情で3、4日空けた場合、こっちも対応しかねると。返して、担当者さんの素直な気持ちもきけた。
もう悩まなくて済むまで和解できたと思えた。
担当者さん『本当に私の事を配慮いただきましてうれしいです。明日10:00頃お待ちしております。』
2021年3月13日
私ひとり、担当者さんが待つ事務所に向かった。農地転用に係る事前審査の控えをお渡しするためだ。
玄関に顔を出すと、こちらへと手招きされ入室した。「どうぞ。」と椅子に誘導された。「ご確認します。」と担当者さんが目を通す。
担当者さん「コーヒーはいかがですか?」
担当者さんはコーヒーメーカーを事務所に設置したらしい。
頂きながら、事前審査に関する事を話したりした。
良いアイデアが出たので「ナイス!」と私が担当者に声をかけると、担当者さんは顔をほころばせて笑う。私はその反応にたまらなく嬉しさ感じた。
(人とこんな風に気持ちを通い合わせられるなんて。私の言葉が相手にちゃんと届いて笑ってるなんて、なんて素敵な時間なんだろう。しかも担当者さん…。)
家の話から始まり、何故か担当者さんのおすすめの醤油の話から、あとはスマホのインスタについて教えてもらったりして、一時間ほどを過ごした。
外壁のサンプル画像のホームページを提供してくれている業者が担当者さんの要望と全く違うサンプル画像を作成された時、
担当者さん「笑いを通り越して怒りを覚えましたよ。」
と言って見せてくれたとんでもない奇抜な色分けのサンプル画像を見て大笑いした。
【担当者さんが怒りを覚えた画像】
【本来はこうなる予定だった↓】
私は思わず言ってしまった。
私 「面白い。私達の家造り、もっと色々起きて面白くなってくれてもいい。」
もう、私はこの家造りで色々起きてる出来事が楽しくなっていた。まるでドラマのようだと感じていた。私の人生を変えてくれてもいたから。
帰り際、玄関で担当者さんとこの間の展示場のスパイの話をした。笑い合い、謝る担当者さん。そして担当者さんの思う新築難民の話をしてくれた。そして4月1日から義務化されるUA値の提示の問題性も指摘していた。
担当者さん「〇〇さん(私の名前)は、住宅の事で分からない事があれば私に聞いたり、自分で調べたりする・・・・。」
(ん?あれ?担当者さんの目が怖いぐらい真っすぐ見てきて・・・。)
担当者さん「本来はこうあるべきかと思います。こんなお客さんはこれまでいなかった。」
私 「いえ・・・私はただ・・・。もしかしてやりすぎ?」
担当者さん「素晴らしいってことです!!」
担当者さんは真っすぐに力の入った眼差しで大きな声で私に言った。
心臓のど真ん中に言葉とともに大砲をぶち込まれた。
素晴らしいと言われるなんて、思いもよらなかった。本当にびっくりした。担当者さんの音量も突然の告白も。
帰り道、私は車を運転しながら担当者さんから言われたさっきの言葉を何度も思い出していた。
感激して涙で目がにじむ。
うれしくて、うれしくてたまらない。
私が人に褒められる事をしてた。家の事で工務店から素晴らしいと言われた。
自分の行動が、認められた。私という人間が認められている。
滲む目で何とか運転し車を目的地に停車させた途端、担当者さんから電話がかかってきた。
担当者さん「渡し忘れたものがありました。今、アパートですか?」
出先だったのでアパートに戻ったら連絡しますと伝えた。
ピンポーン
アパートのチャイムがなる。インターホン越しに、大きく伸びをしている担当者さんが見えた。いつもと違い自由な雰囲気だなと感じながら扉を開けた。顔を見て「本日二回目~ですね。」と言うと、担当者さんも冗談っぽく「二回目~ですね。」と返す。
担当者さん「先ほどは雨が降っていて…濡れてしまうと思って、車に入れてまして……気に入って頂けるといいんですが…。チョコレートのお返しです。」
紙袋がさっと前に出た。受け取った。
私 「………!!あ、ありがとうございます。お返し、すみません。・・・・。あれは私の気持ちだったのに。」
担当者さん「私も気持ちです!」
満面の笑みをこぼしながら担当者さんは颯爽と帰っていった。
ホワイトデーのプレゼントは前に私が好きだと言っていた赤ワインだった。
LINEで想いを伝える。
私 『素晴らしい事です!という言葉を何度も思い出し、何度も涙がこぼれそうでした。それを素直に伝えたいと思いました。ここに、心をうごかされた人間がいます。凄いことが私の中でおきてます。担当者さんのおかげです。』
担当者さん『私としては〇〇さん(私の名前)の住宅新築に対する考え方・行動に対して、素直に発した言葉でした。K様方は住宅新築に対する情熱と愛情がビシビシ感じ、教わる事がたくさんあります。パートナーとして引き渡し後もよろしくお願いします。リテラシーの高い御施主様の新築工事に携わらせてもらい、嬉しいです。』
私 『こちらこそ宜しくお願いします。担当者さんの住宅に対する熱意と研究熱心さを出会い当初から感じ、感謝感激してます。』
2021月3月15日
農地転用申請書、提出。
二段階の壁の二段回目。
これが許可されれば土地は私達のものとなる。
担当者さんからLINEで伝えられた。
担当者さん『本日提出してきました。今季の豪雪により、現場確認の困難が想定され1ヶ月先の5月に持ち越しする可能性があるかもしれいないとの事でした。』
(まだ、私達の家造りを引っぱってくれるか…。)
一筋縄ではいかない様に起こる問題。本当に時間のかかる家造りだ……。
2021年3月20日
前日にLINEで打ち合わせ日時の候補を流したが、担当者さんから次に3人で会える予定の土日の約束がなかった。
こちらからアクションを起こすことにした。
私 『明日ってどうなりますか?』
急だと思うが、これを逃すとまたしばらく予定を組める日はなかった。それに担当者さんの家庭の事情がどうなってるかわからないまま、打合せもしばらくしてなかった。
担当者さん『明日は延期させてください。次回は4/4(日)でよろしいですか?』
ギリギリまで連絡を待った上、打合せをしてもらえない事実にがっかりした。
私 『それで間に合い、ちゃんと家造りが出来るなら構いませんが。ご事情を踏まえ連絡控え、時が来るまで待ち、工面してきたつもりです。』
担当者さん『すみません。明日打合せお願いします。おっしゃる通り、時間が空き過ぎだと感じました。』
カチンときた。
私 『申し訳ありません。こちらの意志、発言を受ける形で了承されたのなら、気持ちの良い打ち合せができません。』
またしても私の怒りが爆発した。
これについて電話でのやり取りをLINEを希望する。しかも私のタイミングで電話を。もう担当者さんに合わせてられない。担当者さんにはこの家造りに向き合う気持ちが薄れているのではないかを、言いたかった。
一時間後ほどに。
私 『申し訳ありません、お電話大丈夫でしょうか?』
少し待ったが返事が来なかったので、諦めて他の事に気を回していると・・・。
着信。
着信。
着信。
担当者さんから数分おきに入る。が、怒った私は少し待たせてみようと考えた。
たまたまそれなりの強い地震が起きる。5分後。
ライン。
担当者さん『地震大丈夫でしたか?電話いつでも大丈夫ですので落ち着きましたらご連絡ください。』
(くっ、まさかの心配LINE。負けてなるものか・・・・。)
担当者さんがどんな意図で連絡してるか明確でもないのに、駆け引きという勝負を私はしていた。だけどさすがになぁと考え、連絡する。
担当者さん「・・・地震大丈夫でしたか?・・・・ご主人さんはどうですか?」
私 「はい大丈夫…です。連絡してませんが、主人も大丈夫だと思います。」
また私と担当者さんは話し合った。
和解できたと思ったが、その日の夜LINEの返信がない事で、また私はキレた。
私 『未読スルー…でしょうか?』
私 『私達は、あなたのご家庭に合わせて動く必要があるのでしょうか?どうすればよいか、もうわけがわかりません。』
担当者さん『すみません。食事して入浴してました。当然のように私が合わせて参りますのでよろしくお願いします。』
私 『あなたのプライベートがこちらに伝わってます。』
私 『それをどうしろと言うわけにもいけません。』
担当者さん『すみません。本当に申し訳ありません。』
担当者さん『私はどのようにご対応させていただいたらよろしいでしょうか。ご教示ください。』
私 『私に聞かれても、答えられるわけもありません。謝られても困るしで・・・。』
担当者さん『そうですよね。すみませんでした。お二人の折角の休日の意味も考えず、打合せも設けず。』
私 『迷惑だとまでは思ってません。暮らしていれば色んな事情があります。ただ、見えます。多分ですが。あなたの日常が。それを感じ取って、どうすればよいか、困ったり、我慢したりする事態が起きてます。』
担当者さん『プライベートを仕事に持ち込むのは良い事ではないと思います。それを感じ取らせてしまったこと本当にすみませんでした。』
その後の夜も謝り続ける担当者さんと怒れる私。この先もこの関係と事態は終わらないのだろうと思った。こちらの心理的負担感が起きても、担当者さんは必死に謝る。
根本的な解決をしないと・・・・。
(大事な家造りに担当者さんの家庭を入れたくない。これは私の家造りだ。)
2021年3月21日
もしかしたら…コイツなら力になってくれるかもしれない!
朝一、工務店を営む同級生にLINEをする。
私 『電話できる?聞きたいことあって。』
同級生 『いいよ~。』
電話で相談した。今、建築を頼んでいる工務店への気持ち、要望を伝えて良いものかどうかを。ソイツは真摯に向き合ってくれた。出された答えは、「担当者に自分の気持ちを伝えた方が良い」だった。
同級生 『気にしないでちゃんと話しする事!!俺には気を使うな!!笑笑。』
同級生は優しかった。
私 『ありがとう。頑張る。』
同日、担当者さんにお願いして主人と私と担当者さんで話し合う時間を午後から作ってもらった。