24.私の担当者さんは…
2021年4月10日
担当者さんがアパートに届出書をもってやって来た。
夫から押印をもらうために。
入室と共に担当者さんがキッチンに立つ私に聞く。
担当者さん「何作ってるんですか?」
私 「コーヒーゼリーをぐちゃぐちゃにしてます。」
夫と担当者さんで届出書に押印している間、私は飲み物の準備。
随分と押印箇所があったようだった。
ハンコレスでないお陰で、飲み物の準備が間に合ったので良かった。
担当者さん「美味しいです!」
一口飲むと満面の笑みを私にしてくれた。
向かい合う夫が黙っていたので「あなたも飲んで。」と言ってみた。
夫 「うん。」
夫からの感想は特になかったので「美味しい?」と聞いてみた。
夫 「うん。」
2人とも美味しいと言ってるから、本当に上手く出来たとほっとする。
アパートに人が来たのは初めてだったから実は心配だった。
夫と担当者さんで互いの仕事とコロナの影響の話をしたり、私の家造りの質問を担当者さんにしたり、笑われたりして少し過ごす。
帰り際、開けようとする扉の手前で突然こちらに振り返った担当者さん。
担当者さん「〇〇さん(私の名前)、とっても美味しかったですよ。あれはミルクセーキというものですか?」
私 「いえ、なんかコーヒーゼリーを入れたカフェ風ドリンクです。」
担当者さん「そうですか。ごちそうさまでした。」
そう言って二コリと笑う。振り返ってまで言ってくれたのが嬉しかった。
2021年4月13日
アパートのすぐ後ろで某ハウスメーカーの平屋の見学会が行われるという情報を聞く。
早速向かった。
若い男性の営業マンが対応してくれた。
家の説明をしてもらい、土地の話や、ここだけの情報などを聞いたり楽しく話す。
営業マン 「実は私も家を建てたんですが、その際、内装などは自分で全部決めました。それが割と好評だったというか。」
私 「え?そうなんですか?見てみたいです。何かに載せてたりしてないんですか?」
営業マン 「うーん、ないかもしれないですね。」
私 「もったいないですよ。きっと見たいお客さんいると思いますよ。参考やアピールにもなる気もします。ああほんと、残念です…。」
さわやかな表情の営業マンさんはポケットからおもむろにスマホを取り出し操作をはじめた。
営業マン 「ちょっと、待ってください。・・・・あ、これですね。」
スマホの画面を見せてくれた。
そこには、黒とグレーを基調としたスタイリッシュで、これまで見たことのない色合いの内装があった。
スライドさせ、ブラックで統一したお風呂、大きめのタイルを張ったキッチン、珍しい黒の建具と畳……などを見せてくれる。
画面が移り変わる度、歓声が出てしまう。
私 「!!凄い。」
おしゃれな内装。ブラックで作られた内装はなかなか参考資料として上がってくる事はなかった。個性的、だけど全く疲れさせない空間になってる。本当に凄いと思った。
もう私は、この営業マンさんのお家の内装の虜になっていた。
興奮が抑えられない。
私 「素晴らしいです。凄くないですか?黒でまとめられて…見た事がありません。」
営業マン 「ええ、ありがとうございます。ただ、黒い浴槽はしない方が良いですよ。水垢がすごいです。」
謙遜しつつ、嬉しそうな表情の営業マンさんと楽しくお話をしたことが嬉しくて、ルンルン気分で家まで歩いて帰った。
次の日、担当者さんにこの事を伝えた。素晴らしい内装の画像だったと。
担当者さん「私だって、お見せするぐらいしますよ。」
私 「いやいや、だって私、建てる顧客じゃないんですよ。」
担当者さん「自分の自宅ぐらいなら見せます。」
私 「自分のスマホの画像出してまで見せてくれませんよ、普通。」
担当者さん「します。私だってできます。」
担当者さんは素直な人である。と改めて思った。
そのまた次の日のこと。
昨日、書類を持ってくると言っていた担当者さんだったが来なかった。
LINEをする。
私 『書類の受取りはまた明日以降、お待ちしてます。』
すぐに担当者さんから電話がかかってきた。
(やっぱり忘れてた。)
また約束をすっぽかされる私。
(何度目だ・・・・。)
必死に謝る担当者さんと納得するまで理由を問いただす私。もう定番の図。
夫 「担当者さんも大変だな。」
と、夫はいつも笑って言うんだけど、私だって大変ですよ…。
だけどこんなに忍耐強く向き合ってくれる人なんてそうはいないよなぁと、これまでを振り返って思えてくる。
銀行の融資について社長を挟み揉めた時も。。。
私 「私の担当者はあなたです!社長じゃないです。今後銀行と話し合わねばならない時は担当者さんが必ず来てください!」
担当者さん「わかりました。大丈夫です。私が必ず行きます。」
以前の家庭の事情で揉めた時も。。。
担当者さん「ご連絡を4日以上しなかった事はありませんでした。私に仕事がある時は合わせられませんが、私のプライベートの時間を〇〇さん(私の名前)に使うことはできます。」
電話でも回答が出ずにいた時も。。。
担当者さん「でしたら次回ということで、またお話ししましょう。」
担当者さん「お昼休憩を挟みまして、午後からまた電話打合せ再開でどうですか?」
話がある度、担当者さんは付き合い、聞いてくれる。何度も。
私の放つ言葉を蹴とばしたり、そのままにしなかった。
それって実は凄いことなんじゃないか。
だって、自分だったら他人の為にここまで付き合えない。お客さんだとしてもここまでは。
怒る私に不満そうな顔を浮かべることなく、黙って聞いていた担当者さん……。
これまで問題が出ても乗り越えられたのは、最後まで向き合う担当者さんがあったからじゃないかな。
(・・・・・。)
良い事が起こる前には辛い事が起きるって聞いた事があって。
私がここに来るために、きっとあの出来事があったんだと思えてくる。
担当者さんにその内聞いてもらいたいと思っている出来事。
出会う前のこと…。
あの辛かった出来事が、きっと今の幸せな出会いに繋がっているんだと思っている。