私の家ができるまで

新築建築までに起きた出来事 

41.進まぬ工事

                                                                  

2021年11月8日

工務店と出会ってからカーテンレールはこれ!というものが私にはあった。

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黒いアンアンバーのアンティークなレール。

これを取り付けるには、窓枠の寸法が必要と販売店から言われた。

 

私    『明日現場に行けば、大工さん達などから窓の木枠の寸法、教えてもらえますか?』

担当者さん『大丈夫ですよ。私も行ければ行きますね。』

私    『はい、お願いしまーす♪』

 

 

翌日

約束の4時30分に現場に行く。季節的に辺りは薄暗くなっていた。

建物内に入ると、中はもっと暗い。

ヘルメットにライトを付けた業者風な方と小さなライトを手にした担当者さんがそこにはいた。

 

(まっ暗。)

 

私    「電気、つけないんですか?」

担当者さん「・・・・つけた方がよろしいですか?」

 

(???)

 

私    「えっと、そっか、電気まだついてないんですかね?」

担当者さん「・・・・。」

私    「・・・・?

とりあえず、中に入ってこの真っ暗な状態にライトを照らしながら話をし始めた。

担当者さんと一緒にいたのは窓のサッシ屋さんだった。

 

小一時間ほど3人で下調べをしたのち、建物内を後にする。

 

 

2021年11月13日

担当者さんと2人での打合せ。

 

事務所で打ち合わせし、そのまま現場移動し、カーテンレールを取り付ける為に必要なレール情報を販売店の方と話す。

私    「はい、わかりました。そこは15㎝なんですね。あとは大工さんに・・・・。ええ、確認してみます。」

横で担当者さんが電話中の私を待ってくれている。

私はまだ建築中の板の上で販売店に言われた必要寸法をメモする。

担当者さん「よくやるなって思います。」

私    「ん?それって、私…ですか?」

担当者さん「はい。」

率直に感心してもらってるかと思い、顔をほころばせながらメモを続ける。

私    「さて。では今から家具屋さんに行ってまいります。」

今日は予定が詰め込んであった。

 

担当者さんと別れ、目的地の家具屋さんに着くとLINEが入る。

担当者さん『本日は打合せありがとうございました。気を付けて、ご帰宅してくださいね。』

 

 

2021年11月15日

LINEでカーテンレールの寸法を担当者さんに伝えた。

あのレールを付けるには工務店の協力が必要だと販売店から言われたからだ。

 

担当者さん『データ読み込む事が出来、大工さんと相談しますが、早急な返答は出来ないと思いますのでご了承ください。』

 

 

2021年11月19日

担当者さん『カタログ寸法を元に検討させていただきましたら、非常にシビアでとても現物なしに『付けれます。大丈夫です。』とは回答できないのが現状です。購入は検討された方がよろしいかと思います。』

がっくりきた。きたが、すぐに似ている他の商品を探そうと新しい目標に切り替わっていた。

私    『寸法の何処がシビアでしたでしょうか?別のもので検討しようと思います。』

 

 

翌朝

返信がないので希望のカーテンレールを早く叶えたい私は朝、担当者さんに電話する。

そしてすぐにレールの販売店に走る。

 

売店  「同じようなものでこれ以上サイズがコンパクトなものはありません。」

 

(そんな・・・・。工務店からはシビアだとしか回答はない。)

 

私    「工務店の方からは現物でもなければ、何とも言えないと言われてます。」

希望が砕かれ、打ちのめされている。次の手がない。

 

売店  「それでしたら、こちらから採寸をしに現場に行きますが、いかがでしょうか?」

私    「え?そんな事をしてもらえるんですか?」

売店  「はい。ご希望のこの商品が取り付け可能かどうか、こちらで採寸いたします。」

私    「凄い!ありがとうございます。」

まさに光。これで本当に可能か不可能かがはっきりする。

出来る限り可能な道があるならば試していきたい。

でなけば到底諦めがつかない。

 

すぐに担当者さんに販売店の方が来てくれるので、予定を合わせてほしいとLINEで告げた。

私    『窓枠っていつ入りますか?販売店さんが可能かどうか現場に伺えるそうです。』

担当者さん『材料は現場に入っていますが、取付となりますと12/6の週の後半から12/13日の週ではないかと思います。』

 

(3週間も待つの?…何とかもっと早く出来ないだろうか?)

 

電話で早く出来ないのか聞いてみた。

私    「もう少し早くできないですか?」

担当者さん「頑張ってみます。」

私    「採寸時には担当者さんが来ますか?大工さんですか?」

担当者さん「そうですね…私が行けたら行きます。」

私    「お願いします。工務店の方、販売店の採寸の方、そして私の三者で検討するそうです。」

担当者さん「……エアコン屋さんに直接来て頂いたほうがいいですね。」

突然、工務店の方からエアコン屋さんに切り替わる。

私    「その方が良ければそれでもいいですが……でもエアコン屋さんはすぐに都合つけられますか?」

エアコン屋さんと販売店の採寸係の方、工務店と予定を合わせるのは難しくなるんではないかと思えた。

担当者さん「聞いてみないとわかりませんが……。」

なんだか消極的な発言の担当者さんに思えた。

あのカーテンレールを取り付けたい私の熱い思いとは裏腹である。

私    「担当者さんではダメですか?エアコン屋さんを呼ばないといけませんか?来るのに時間がかかってしまうと、家造りにも遅れが…。」

担当者さん「エアコン屋さんに直接来てもらった方がいいでしょう。そこは、確実に付くという話を販売店の方とエアコン業者でやってもらったほうが。」

私    「しかし、まあ……。販売店の方には工務店の方の立ち合いと伝えてあります。言い直せばいい事ではありますけど…。」

担当者さん「私達、工務店が立ち会ってといいますが、確実に付けられるという責任をその販売店は取ってくれるのかっていう話ですよ。」

 

(責任・・・・。)

 

だいぶ前から引っかかっていた言葉が出たと思った。

私    「責任ですね……。やはりそこですか。」

担当者さん「・・・・。」

 

工務店は、担当者さんは、責任を取れないとこれまでのやり取りで判断している。

 

(見捨てられてような気がする。)

 

正直、それは私のカーテンレールの為に力を貸してはくれず、傍観者になるという事じゃないか。

 

工務店の方が力を貸してくれなかったら、施主は誰を頼りに家を造れと……?

 

(担当者さん、あなたは私の家造りの協力者ではないんですか?)

心によぎるそんな想い。

 

 

電話を切った後、販売店にエアコン屋さんが来て頂く話をし、そしてこれからの段取りについて担当者さんにLINEする。

私    『販売店に連絡しました。12/6の後半から予約を取れるよう取り計らいしてくれるそうです。宜しくお願いします。』

担当者さん『了解しました。現場の進捗に合わせて日程調整しますので、よろしくお願いいたします。』

 

(・・・・・進捗。)(~_~)

 

(進捗…とは…。)(`・ω・´)

 

Σ(゜◇゜)

 

今、とてつもない事が分かったと思った。

現場の進捗というが、現場はどれだけ進んでるというのか。

 

(9日のサッシ屋さんと現場に行った時、真っ暗のまま打合せしたのは…?)

 

(13日に窓枠の実寸を見に行った時、何が変わっていた…?)

 

 

10月31日の構造見学会の時からこれまで、見た目では家がほとんど変わってない。

 

 

担当者さんこの件について慎重にLINEする。工務店を疑いかねない発言になるからだ。

私    『カーテンレールの存在が家の重要な部分になりますので、窓枠を出来れば早めに入れてほしいところがあります。1月半ばには完成と思ってましたが、いささか不安を感じます。』

 

担当者さんからLINEがくる。

担当者さん『了解しました。出来る限り早目に進めさせていただきます。』

 

どこまでも消極的な回答に、私のフラグが久しぶりに立つ。

 

私    『この件に関して私からもう少し聞きたい部分もあり、お話しする時間をお願いします。』

 

立ったのは怒りのフラグ。

また、担当者さんとの一騎打ちがはじまると感じている。

 

 

それを察してか担当者さんからは次の日になっても返信はなかった。

 

 

 

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40.君の恋人達

                                                                  

2021年10月末

私の家は周辺では珍しい「緑の柱」というものを使っている。

シロアリを寄せ付けず、半永久に腐らない柱に加工されている。

県内ではまだほとんどいない。

 

担当者さん「モニターになってください。この柱はこれまで探していた中で見つけた私の理想としているものです。」

 

これから建築をお願いしようと決めた頃、担当者さんに言われた。

半信半疑というか、実は興味さえなかった。

 

(でも、モニター価格でいい柱をつけてくれるなら、いっか。)

 

この時の私の考えなんてこんなもんだった。

 

そして建築が進みその後、「緑の柱」を作っている会社の営業の方が説明してくれる機会があった。

 

営業の方 「腐らない木。災害にも強い。新築時の柱というのは強度ですが年数が経つにつれて弱まっていくんです。でもこの柱は半永久に新築時のまま。そして生きている木のように二酸化酸素を酸素に変えていく力ももってます。」

 

(切られた後でも呼吸して地球の空気を良くしている!?)

そんな事が出来るなんて、なんて合理的な建物なんだ!と思った。

無駄がない。あるだけで、世の中に貢献しているようなものだ。

 

営業の方 「阪神淡路大震災や九州の大地震をご存じですか?あの時私はそこにいました。次々と倒れる家を見ました。この木だったら絶対倒れないというわけではないかと思いますが、もし柱が強いものだったらこんな事にならなかったのではないかと考えます。」

 

災害の話を聞いて、いつか見たテレビの水害の映像が頭に呼び起された。

私    「ええ。私も大雨の被害で流される家がある中、崩れず建っている家を見た時、この差は何なのかと。辺りが濁流に飲まれる中、流されず建っているこの家だったら大丈夫だったのにと・・・・思ったりしました。」

 

災害時に絶対倒れませんと保障しているのでない。

でも確実にこの緑の柱は強い。

そして地球にやさしい。

 

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改めて、建築中の家の中の柱を見渡す。

 

私     「お話しを聞いて、今目の前に建っているいる柱が宝物のようです。凄いものに見えます。」

 

私の家の内部には凄い柱が建立している。

そう思うと、誇らしくなった。

 

モニター価格なので、堂々と言える立場でもないけど。

 

 

2021年10月某日

私は珍しい光景を見ている。

担当者さんが、他のお客さんに営業トークをしている光景を。

 

若い夫婦と担当者さんは立ち話をしている。

担当者さん「あれはパソコンからですよね。長けてるーって思いましたよ。」

お客さんA「いやいや。」

担当者さん「その内、私がお客さんにお願いするかもしれません。」

お客さんA「(笑)」

凄いです(@^^)/ (´ω`*)(´ー`)

 

 

次は年配のご夫婦とのトーク

 

お客さんB「ホー平屋か。坪単価はいくらぐらいですか?」

担当者さん「この間お話ししたくらいですよ。」

お客さんB「なるほどなー。ああ、この柱が言っていた…。」

担当者さん「はい。やはり良いものを提供していく。これ以下のものはお出ししたくないと考えてます。」

そう(´っ・ω・)っ (´・ω・`)(・。・)

 

 

また、赤ちゃんを連れた若い夫婦とも会話しいてる担当者さん。

担当者さん「丈夫な家を建てることは、息子さんが大きくなっても安心して住めるってことですよ。」

お客さんC「はい。そうですね。自分で作っていける所は手をかけていきたいんですよね。電気とかも自分で。」

担当者さん「ああ、そういう場合、このですね…。」

…という(`・ω・´)ゞ (*‘ω‘ *)(´-`*)

 

途切れることない、担当者さんとお客さん達の会話を私は遠くからで黙って眺める。

(´-ω-`)・・・・。

そのうち気が付いた。

(担当者さんは私以外のお客さんとも会話する。)

当たり前の事だが。

なんだか私の知らない担当者さんを見ているようだし、いつもの私と担当者さんを見ているようでもある。

 

お客さんが帰り、私もこの場を後にしようと担当者さんに声をかけた。

幾つか会話しながら、これを言ったら担当者さんはどう言ってくれるのかと考えを張り巡らせ、そして口を開いた。

 

私    「担当者さんが他のお客さんと話をしている所を初めて見ました。・・・・私だけの担当者さんじゃないんだなって思いました。」

担当者さんはこれにちょっと横を向いてクシャっと顔をほころばせる。

担当者さん「嫉妬ですか!?」

私    「違います。ちょっと驚いただけです。」

担当者さん「ヤキモチじゃないですか?」

私    「違います。ヤキモチじゃないです。」

 

違わないけど、違いますという言葉しか返せない。

愚かな考えで愚かな発言をした私の末裔。

 

でもちょっと嬉しかった担当者さんの反応。

 

これを見たら、夫はまたこう言うだろう。

夫    「恋人か!?」

 

(^^;)

 

(すみません。)

 

これからは恋人のような人達で溢れかえる世間になったら面白いのに。

 

 

 

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39.他の人は知らない幸せな時間

                                                                  

2020年6月

今建築中の工務店と出会う。出会いのキッカケは道端の看板。

 

2020年8月

土地と出会う。

 

2020年9月

土地を購入するために市役所に一段階目の申請を出す。(農振除外申請)

 

2021年3月

一段階目の申請が下りたので、市役所に二段階目の申請を出す。(農地転用申請)

 

2021年5月

土地の売買契約。工務店との建築の契約。

 

2021年6月

建築工事をはじめる。

 

2021年11月(現在)

外壁を張る一歩手前まで新築工事が進む。中はまだ柱のまま。

 

これまでの家造りを時系列でまとめるとこうです。

 

周りの方から言われる事

「まだ家出来ないの!?着工いつ?6月からでしょ?」

「お前の家、工事に誰もいなかったけど進んでるのか?」

「いつ完成するの?後から建てた俺の家の方が先に建つぞ。」

「いつ出来る?年内じゃないの!?何でそんなにかかってんの?」

 

日が経つにつれて、多くの方から言われるようになっている。

確かに今年の6月にはじめた時点で、完成予定は11月中だった。

 

(・・・・。)(~_~)

 

工事が遅い事を自分自身はそんなに気にしていないので、世間とのギャップを感じつつ、工事がかかり過ぎてる事実も知る。

 

通常は3、4ヵ月で建つらしい。

私達の家は6月からはじめて、建つのは1月末の予定にのびた。

 

(でも、良かった。)

 

この家造りをじっくり進められて、納得のいく選択を探す時間がとれて良かった。

出来上がってバタバタした中の引っ越しも大変そうだし。

 

周りの方は言う。

周り   「なんでそんなに遅れてるの?」

 

私    「・・・・。えーと…。」

 

これにはっきり答えられず、周りの方の頭には???がついて話は終わる。

完成が遅れた本当の理由は実はよくわからなくて。

理由がひとつではないとは思うが、工務店さんからこれだというはっきりした事は自ら聞いてない。

結果的にこれで私は良かったので、面倒な話はしないと思って聞いてない。

 

(´・ω・`)・・・・。

 

きっと、いや……本当は……。

私の本心はこの家造りを終わらせたくないって思ってる。

 

家を手に入れる事よりも家造りの過程をもっとしたいと思ってる。

 

ずっと永遠に続けばいいのにって思っている。

 

事務所で向かい合って話し合った日々。冗談交えて交わした笑い声。いつも帰りは車まで担当者さんは見送って「よろしくお願いします。」って言い合う。

 

離れたくない日々になっていた。

 

出来る事なら。

この瞬間を永遠に閉じ込めておきたい。

 

そう願ってる。

 

 

そんな中、8月頃に言われた。

担当者さん「もしかすると、完成11月中頃から若干のびるかもしれません。12月の可能性が…。」

私    「ん?どうして?」

担当者さん「ものが入らないというか…。」

 

(年末か。師走は忙しい。バタバタの中引っ越しは困る。でも……。のばしたい気持ちも若干ある。いっそのこと来年で構わないけど。)

 

 

そして9月頃、夫もいた時に再び言われる。

夫に向き合い、緊張した雰囲気をもちながら担当者さんは話し出した。

担当者さん「大変申し上げにくいのですが、引き渡しが11月末は難しそうなんですが。絶対出来ないってわけではないのですが、大変厳しいです。K様側のご都合はどうですか?」

 

私の心は決まっていた。

(のばせるなら、そうしたい。)

 

夫    「・・・・。出来れば早めがいいですが。」

 

(まじか!?どうしよう。私はのばしたいのに。)

夫から意見が出たことはあまりない。珍しく意思表示が即答だった。

 

私    「私は年末のバタバタした中に引っ越しするぐらいなら、正月明けとかにゆっくり入りたいです。」

ちらりと夫を見る。

夫    「俺は雪の中の引っ越しは避けたい。」

 

(はっきり言ったー!)

だがここはローンの借主であるご主人様の意見には逆らえない状況でもある。

(よし、何とか夫をその気にもっていくようにするしかない。)

 

私    「いや、大変。私が大変。もう、年末の忙しい時にあれやこれやの手続きとか、忙しい中やったら絶対抜けが出たりする。それは困ることになる。確実にしっかり入居したい。それに12月にだって雪が降っての中の引っ越しの可能性だってある。12月も1月も雪は変わらない。」

 

大変なのは年末に引っ越す事でなく、今の私の頭の中だと思う。

話している理由が大混乱を起こしている。

 

夫    「・・・・。やっぱり俺は嫌だ、来年になるのは。」

 

(返って、こじらせてしまったー!!)

たぶん、この時の私は目が血走っている。

これ→( ''ω'' )

もしくはこれ→(◎Д◎)

 

このまま事務所で話し合っていても形勢は変わらないと察し、家に持ち帰ることにした。

 

(出来るだけ長く家造りをしたい。終わらせたくない。)

と、この本心は言わずに何とかしなくていけない。

 

 

数日間話してみた所、とうとう夫が折れた。

(;´・ω・)ほっ・・・。

担当者さんにすぐに電話で、延期で大丈夫ですと伝えた。夫の気が変わらないうちに確実なものにしとかなくてはいけない。

担当者さん「私が延期のお願いをした件でご主人様、気を悪くさせてなかったですか?」

私    「全然。大丈夫です。」

 

そしてこのやり取りを仕事から帰ってきた夫に伝えた。

これが良いやり取りであったという大団円のシナリオが私の頭にはあった。

私    「担当者さん、気にしてたよ。気を悪くさせてないかって。やっぱりご主人様である、あなたの存在は重要なんだな。」

夫    「・・・そうか。」

 

もう、自分必死。ほんと、必死

 

(*´Д`)でもなんとかなった…。

 

 

とんでもない事を言い出すけど。

家族であっても、隠し事はあってもいいんじゃないかって近頃考えるようになった。

 

自由に自分なりの幸せな時間を作っていってもいいんじゃないかって思う。

お互いに。

 

夫婦、2人でいる時だけが人生の重要な時間じゃない。

 

子供がいないという事のメリットと幸せの形を考えている。

 

いないからこそ、出来る事、許される事があって、それぞれの幸せな時間を過ごせたらって考えている。

 

 

 

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38.色んな情があるならば

                                                                  

2021年9月22日(大安)

 

   上棟式が行われた。

 

建築が棟上げというところまで進んだ時、これからも家が無事に建つことを祈願する、式。

 

昔からの習わしで、女性である私は入れないという決まり事がある。夫と工務店の方々が家の中に入る。私はひとり玄関のポーチで中の音を聞いていた。

 

同級生の言葉を思い出す。

(同級生 「施主が女だったらどうすんだ?」)

 

確かに。

でも神様怒らせて、家造りに災難が起きても困るので従う。

(´-ω-`)…神様、おねがいします。

 

 

2021年9月29日

会社の健康診断があったので、仕事の途中に抜け出し会場まで向かおうと自分の車にのりこんだ。

出発しようと駐車場内を走る。

 

(いた!!嘘っ!?凄い偶然。)

 

担当者さんの車が敷地内に駐車してあった。

左に急ハンドルをさせて、隣の隣に駐車させた。

(体の反応、早っ!)

車の発見にも驚いたが、自分の動きにも驚く。

慌てて建物内に戻る私。

 

\(゜ロ\)))) タッタッタッタ…

 

二階を駆け上がったところで担当者さんの姿を見つけた。

あえて声をすぐかけずに少し離れてスキップしてみた。

この時、ここが自分の職場である事は少し忘れている。

♪(((@^^)/ 気づいて!

 

少し間を置いて。

にこぉ…(´^ - ^`)

こっちを向いて笑顔を見せた担当者さん。

 

(*´▽`*) わーい

担当者さんの隣に飛び込む。

 

担当者さん「タッタッタって軽快に上がってくる足音、たぶん〇〇さん(私の名前)だなって思いましたよ。」

私    「びっくりしました。本当に偶然に駐車場を通りかかって車、見つけました。」

担当者さんは高らかに笑いながら言う。

担当者さん「テレパシー。」

 

本当、そうとしか思えない。

 

 

2021年10月2日

担当者さんと2人だけで事務所で打ち合わせ。

 

私    「担当者さん。」

担当者さん「はい。」

私    「以前、申請書についてどこまで許されるかの話をした事がありましたよね。」

担当者さん「・・・・ああ、ええ。法律上許される範囲の…。

私    「私は心配してます。他の方のように担当者さんがその道に行ってしまわないかを。」

 

私が他から知った話だが、申請書というものを作る際に誰がどこまで関与するかで揉めるケースというか問題として上がる事が世の中にはあるという。

 

私    「これまで担当者さんの名前が、そういった事に出てきたことはありませんか?」

担当者さん「ありません。」

良かったと肩をなでおろした。

この先、何処からか聞いたこの話が担当者さんの身に降りかかるのではないかと心配して、実はずっと心の中で思っていた。

 

(でも、あまりダメとか言える権利は私にはない。)

 

(ないけど・・・・。)

 

私    「担当者さんの名前に傷をつけないで。ダメですよ。担当者さんはこのまま真っさらでいてください。」

この言葉なら言ってもいいと頭に浮かんだ。

担当者さんの成功を祈る言葉。せっかく出会った大事な担当者さんの名前に傷をつけたくないという言葉なら。

 

担当者さん「心配して頂き…ありがとうございます。工務店として直接関わりあった事でもない限り、触れないと考えてますので大丈夫ですよ。」

 

真剣に伝えて良かったと思った。

もし、どこかで担当者さんの名前が悪い意味で出てきてしまったら、私は本当に泣きそうになってしまうと思う。

 

 

家造りの打合せがある程度進んだところで。

担当者さん「これを見てください。」

担当者さんはパソコンの画面に、サイトを表示させた。

担当者さん「工務店の新しいホームページです。」

私    「おお!」

WEBの作成を手掛けてる知り合いに作ってもらってる所だとは聞いていた。

担当者さん「まだ完成ではないですけど……どうですか?」

私    「ここが…分かり易くていいですね。」

担当者さん「お客様目線でご意見が欲しかったので、ありがとうございます。これからは”抜け”がないようにしていこうと思います。」

私    「抜け…?」

担当者さん「ホームページを見て来られたお客様に大したことないとガッカリさせないために、私自身”抜け”がないよう気を引き締めて……。」

これまで担当者さんの家造りで抜けていた事をブログで書き綴ってきたので、その事を指しているのがわかった。

私    「・・・・。たぶん、抜けたまま変わらずにいくと思いますよ。」

笑顔でポツリと言うと、笑いながら目を大きくさせて担当者さんは返した。

担当者さん「えっ!?」

私    「きっと抜けがまたあると思いますが…担当者さんはそのままでいいてください。」

担当者さん「またまた~、頑張りますって。」

 

もう1年以上も向かい合った事務所の大きなテーブル。

今日は冗談交じりな笑みを浮かべて2人は座っている。

 

 

2021年10月16日

今日は建築中の現場で担当者さんを挟み、電気屋さんとコンセントの位置決めがあった。

電気屋さん「電気屋です。今日はよろしくお願いします。」

私    「施主です。よろしくお願いします。」

担当者さん「では、こちらから回って見て行きましょう。」

 

担当者さんの誘導を受けながら、まだ柱むき出しの家の中を3人で歩いた。

あちらこちらで作業している大工さん達がいる。

工具や建材が散らばり足元もまだ未完成なため、気を付けて歩く。

 

担当者さん「今、〇〇さん(私の名前)が立ってる位置が丁度、寝室の入り口です。」

(なるほど…。)

私は自分の立った位置から奥の窓や天井を眺めた。

 

大工さん 「いや、そこ違う。入口はこっち。」

 

(!!)

近くにいた大工さんが突然入ってきた。大工さんの指し示す場所を見つめた。

(あ。…うん、そっちだ、入り口。)

自分でもわかった。

 

担当者さん「え!?あ、そうでした。ここはウォークインの側の通路の所ですね。入り口はそちら側の、そこの…。」

大工さんを交えて大笑いした後、担当者さんは大慌てで補足しながら説明をはじめる。

 

早速、いつもの”抜け”の担当者さん。

この間の宣言は何だったのかと突っ込みたくなる。

 

って、大笑いしたけど、心の中で思ってる。

 

(頑張って。)

 

私はいつでもあなたを応援してる。心配もしてる。

あなたが工務店の人間として素晴らしいものに出来上がっていくのを何より楽しみにしている。

 

10月2日の事務所であなたが言ってくれた言葉。

(担当者さん「私は幸せ者です。」)

私の為に言ってくれたと思う。

 

(私の心にあるなんとも言えない感情。)

 

(口に出したくないような出したいような感覚。)

 

色んな情があるならば、私と担当者さんの、これは何というものなのか色んな方に聞いてみたい。

 

 

 

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37.誰がために書き綴る

                                                                  

2021年9月14日

事務所にて担当者さん、夫、私で3人で以下の打合せ。

  • コンセント、照明について希望と予算
  • 上棟式の日程

 

私    「上棟式の日、私達夫婦、何もわからないのでどうかよろしくお願いしますね。」

担当者さん「わかりました。」

私    「大工さん達に私達からご用意しているものもありますので、それを渡す際とかさりげなく教えてもらえたらと。」

担当者さん「はい。その際はツンツンでもいいですよ。」

私    「ん?」

担当者さんは指で軽くつつくしぐさを見せた。

担当者さん「私にツンツンってしくれてもいいです。」

 

(え!してもよいの!?(*'ω'*)

 

夫    「・・・・・。」

 

(いや、今そういう反応するとこじゃなかった(・_・;)というか、担当者さんどうした?)

 

とりあえず、笑顔で無難な返事をした。

私    「はい。わかりました。」

 

 

2021年9月19日

休みだったので、久しぶりに建築中の自分の家を見に行った。途中経過をツイッターにアップしたりしている。

 

(わー!壁がおおわれている!)

以前はなかった壁が出来ていた。窓がくる予定のところはポッカリ穴も空けられている。家らしくなってきていた。

 

(そして、のぼりがある!)

【HOUSEGUARDSYSTEM】と書かれた緑の柱ののぼりが四本立っていた。

 

家とのぼりを写真に納めて、担当者さんにLINEで送った。

私    『のぼり、すてきー!!この写真、ツイッターにアップしていいですか?』

 

担当者さんのからの了承の返事を待つ間、ふと気になった。

 

(なんだか、寝室の窓の位置指定した高さがある感じがしない。)

 

プライバシーの配慮から寝室の窓だけ20㎝上げてもらう事になっていた。だいぶ前の話し合いでのことになる。

 

私    『念のため確認ですが…寝室の窓の位置、上げてますよね?』

 

担当者さん『お世話になってます。寝室の窓、確認します。

 

 

 

次の日の午後LINEが届く。

担当者さん『寝室の窓サッシの高さに関しまして、確認しましたところ正確な寸法を22日に現場にて再度確認お願いします。』

担当者さん『現状は図面通りになっておりました。ご指摘ありがとうございました。』

 

このLINEから高さが指示通りだったかわからなかったが、トラブルは回避できた感じはする。

 

 

 

2021年9月21日

夕方、担当者さんに電話で話す約束をしていたが急用で酒屋まで行かなくてはならなくなった。

私    「担当者さん、すみません。今日夕方電話する約束でしたが今から行かなくてはいけない所がありまして…。」

 

 担当者さん「慌ててますね。いいですよ。」

笑いながら言ってくれた。

 

私    「また後でかけ直してもいいですか?6時前頃になるかもですが…。」

 

担当者さん「大丈夫ですよ。」

声は笑っている。今日の担当者さん、やけに優しくて驚いた。

 

 

用事を済ませた頃には夕焼け空になっていたので急いで電話した。

私    「すみませんでした。電話待ってもらってありがとうございます。」

担当者さん「大丈夫ですよ。」

やっぱり今日の担当者さんは受け身全開。

 

ブログの件で相談をした。

私    「これから家に帰って、可能なら今日中か明日には見てもらうようにPCで直しておきます。」

担当者さん「わかりました。お待ちしております。」

私    「ところで、先日の寝室の窓の高さって、実際のところ現場には間違った高さで通ってたのですか?」

担当者さん「ええ、そうでした。すみませんでした。」

私    「いえ、そうだったんですね、やっぱり。」

担当者さん「これからも、違ってたりするところは互いに補ったりしていければって、私は思いまーす!ね!!」

テンション高めのこの発言に思わず吹き出してしまった。

 

(担当者さん、どうしちゃったのってくらい心開いてるなぁ。)

 

だけど、私も家造りは二人三脚でと思ってる。

工務店任せというよりは、互いに意見や確認を行いながら進めていけたら理想かと。

何より良い家が建つことが大事だから。

 

私    「ええ、それがいいですね!私が言って良かったってことですよね?」

担当者さん「そうですよ。大手柄ですよ。ありがとうございました。」

 

辺りはすっかり日が落ちていた。

久しぶりに担当者さんと夕方に長話している。

 

肌で感じる、相手との距離感。

きっと今、心と心が近くなってきている。

このブログがきっかけなのかもしれない。

 

 

   数日前のこと。

 

2021年9月10日【過去】

打ち合わせが終わりアパートの玄関を出て、担当者さんが車に乗り込もうとしてた時であった。

 

担当者さん「ブログ見ましたよ。」

 

私    「!!そうですか。…どうでしたか?」

 

担当者さん「…どうって…。いや、なんか…。」

 

話す担当者さんの声も様子もたどたどしい。

 

(…ブログ、失敗した?)

 

担当者さん「あんなに私が家族の件でご迷惑かけたのに、〇〇さん(私の名前)はあんな風に思ってくれて・・・・泣きそうになりましたよ。」

 

笑ってしまった。

私    「泣きそうに、ですか?ふふふ。そうですか。」

 

嬉しくてたまらず、笑いが止まらない。なんだか興奮さえして、頭がはっきりしない。

私のHighな状態を見て担当者さんも屈託のない笑みをこぼした。

担当者さん「フワフワしちゃってるじゃないですか!?」

 

車に乗り込もうとする担当者さんの背中に、落ち着きを払いながら言った。

私    「ようやく読んでくれましたね、担当者さん。」

 

担当者さん「はい。録音でもしてたのかってほどでしたよ。確かにこう言ったな自分って思いながら読んでました。」

 

私    「ね。言い回しや時系列の少しのズレはあるかもしれませんが…本当に起きたことですよね?」

 

担当者さん「……はい。未熟な自分で…仕方がないです。」

謙遜気味のいつもの担当者さん。

 

担当者さん「あのエステの方の話ですが…。

〇〇さん(私の名前)を変えた人というのは・・・・私ですか?」

 

私    「はい。そうです。」

即答すると担当者さんは目尻を下げて静かに笑みを見せた。

 

照れてるようにも見える、はにかむ笑顔の担当者さんの顔をしっかり見たかったけど、私はなんだかフワフワしてて今日は心ここに在らずのまま。

 

ようやくこれまで大事に綴ってきた私の胸の内が担当者さんに届いた。

 

 

   そして数日後、電話でのこと。

 

私    「担当者さん、ブログ読んでどう思いましたか?」

しつこいようだが、しっかり聞きたいと思った。

 

担当者さん「どうって…、家造りの仕様を決めるだけでも大変なのにブログまで書いてくれて凄いと思いました。」

そういう事じゃないって思った。

 

私    「読んでみて感想というか、どんな風に思ったかを聞きたいんです。担当者さんがどう感じたか。どう思いましたか?」

 

これに担当者さんは少し上ずった大人びた声で言った。少し笑いながら。

担当者さん「・・・・言わせようとしてませんか?」

私    「いやいや、そんなことはしてませんよ。でも…これはそうなってしまうのかな?」

私も笑って返すと担当者さんも連れ立って笑う。

 

担当者さん「・・・・嬉しかったですよ。」

ぽつりと言ってくれた。

私    「嬉しいって言いましたね?」

この言葉は絶対忘れてはいけないと思って、聞き返した。

担当者さん「はい。」

私    「嬉しいですか、そうですかー。」

私は完全に調子にのっている。

 

(だって、頑張ったんだもん。)

 

私    「いや~、良かった。ブログ作って本当に良かったです。」

 

(あなたとの家造りの記録残したくて。)

 

私    「担当者さんがいいなら、いいんです。」

 

これまでの出来事、あなたと造ってきた、かけがえのないものなんだって分かち合いたいって思ってた。

 

(だから色んなこと、頑張った。)

 

担当者さん「ありがとうございます。」

一言、お礼が返ってくる。

 

 

今、頭の中に浮かぶ。

 

 

大成功。

 

 

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36.あなたらしく

                                                                  

2021年9月9日

担当者さんから照明と電気の配線図について連絡がきた。

 

担当者さん『今日の予定でしたが、明日の午後お渡しできるように頑張ります。』

担当者さん『ご確認したい事がありまして、夕方16:30頃お電話してもよろしいでしょうか?』

 

私    『お好きなタイミングでどうぞ。10日も了解しました。』

 

担当者さん『ありがとうございます。よろしくお願いします。』

 

仕事を終え家につくと予告通りに電話がかかってきた。

 

私    「はいー。」

担当者さん「トイレの窓の位置なんですが……。」

 

確認したい事というのはトイレの窓の位置だった。

トイレの背面につく予定の窓。それを壁のどの辺りにつけるのか担当者さんと話し合った。

 

担当者さん「トイレの真後ろにつけるか、それとも、ずらしますか?」

私    「ちょっと、トイレの便器のサイズがわからないと何処が良いかわからないというか…。便器は中央じゃないからなぁ…私の間取りの場合。んーと……。」

 

私の家の場合はトイレの大きさがよくある1畳より大きめなので、便器は中央ではない。左よりだった。

 

私    「便器のサイズはわかりますか?」

担当者さん「……ちょっと、わからないですね。」

私    「ん-……、ああ。もしかすると便器の大きさわかならくても左右の長さ出るかも!確かトイレは1.2畳なんで背面の壁の長さが…。」

担当者さん「1136.3mmですが、内寸はそこから120mmのの柱のぶんとボードのぶん25mm引いて、991.3mmです。」

私    「私の頭だと小数点まで入ると処理しきれないので、991mmで計算します。」

【トイレの上からみた図】

f:id:Connect-w:20210925113001j:plain

 

この間取りの情報から、窓の種類と壁の長さがわかっているので、便器の真後ろに窓を持ってきた場合の窓の右側と左側の長さが出ると考えた。

私    「トイレの窓のサイズ、横の長さは何ミリですか?」

担当者さん「640mmですね。」

私    「はい。便器の位置は通常の左側の壁から380mmと私が指定しているプラス30mmの位置にきます。それを壁の長さ991mmから引いて……ですね。」

 

担当者さん「・・・・。」

 

私の答えが出るまで黙って耳を傾けてる様子だった。

 

計算を頭の中で組み立ててみる。たぶん出ると思った。

(991-380ー30で…”581”。便器の中央は右から581mmだ。これから窓半分の長さ320を引くと…”261”。右側が261mmの壁。)

 

私    「右側が261mmの壁です。左側が380+30で410から窓半分の長さ320引いて90mmです。」

 

ようやく壁の長さが出た。

 

担当者さん「いえ、違うと思いますよ。175.5mmです。」

私    「え?なんで?」

担当者さん「いや、そうでしょう。半分だとしたら175.5mmです。」

 

割と強気な姿勢で言ってくる担当者さん。

 

私    「いいえ、違いますね。右、261mmです。」

 

私だって間違いないと思っている。

 

担当者さん「いや、計算して175.5mmになりますよ。間違いなく。」

 

担当者さんも強気の姿勢を維持。

 

私    「担当者さんの答えと数に差がありすぎて、私の計算ミスとかじゃないですよね。どういう事で…!?」

 

押し問答は終わらないだろうなと思えた。

 

担当者さん「・・・・伝わらなくて残念です。」

 

(がっかり気味…なんで!?)

担当者さんのトーンの落ちた声に、がっかりされてるのは私が原因かと思った。

 

私    「それは、私が理解できないので”残念”なんですか?」

こんな時いらないプライドが邪魔をしてはっきりものを言って聞いてしまう。

 

担当者さん「違います。私のお伝えする力がなくて〇〇さん(私の名前)にご理解頂けなくて残念だということです。」

 

言ってる言葉は優しいのに、疑念が表立つ雰囲気を感じる。

 

(なんという不穏な空気感・・・・。)

 

担当者さんと私に流れる不穏なこの感じを消したくて、明るい声で笑いながら言う。

私    「私の出した答えが合ってると思いますよ。」

 

全く噛み合わないまま電話をきった。明日担当者さんが来ることになっているので、その時に話し合う手はずで。

 

(´-ω-`)だって、違うもん…。

 

私の答えが正しかったと証明するため、LINEした。

私    『261!あしたよろしくお願いします。』

この数字を覚えておいてもらう。明日正しかったと判明するはず。

 

担当者さん『よろしくお願いします。』

さらりと返ってきた。

 

 

2021年9月10日

担当者さん「お世話になっております。教えてください、洗面台の照明、シーリングですか?」

 

突然、担当者さんから電話がかかってきたかと思うと急いだように質問が飛んできた。

 

私    「シーリングだと思いますけど、えっと、待ってください、今カタログを送りますから。」

担当者さん「シーリングかどうかだけで結構です。シーリングでいいですよね?」

口調は珍しく厳しい。

私    「たぶん、そうだと思いますが…どうすればシーリングかどうかってわかるものですか?」

担当者さん「直結かどうか……。」

私    「直結?どこに書いてあるんですか?」

担当者さん「シーリングですよね?」

私    「・・・・はい。シーリングで。」

 

最終的に担当者さんに追い込みをかけられて、答えてしまった。

シーリングかどうかわかってないのに。

 

(どうしたって、あんなに問い詰めたの…?)

 

想像してしまう。

(ー"ー;)イライラ

こんな顔してる。

 

 

同日15:00。

担当者さんアパートに現る。

 

私    「コーヒーでいいですか?」

担当者さん「結構です。この後用事もありますから。」

 

今日の担当者さんは朗らかな空気がほとんどないなと思った。

(´-ω-`)しょぼん…

 

私    「担当者さん、昨日の壁の続きなんですが。ここに私が計算したものを書きました。これでわかってもらえると思います。」

担当者さん「はい。」

 

【私の計算の図】

f:id:Connect-w:20210926093109j:plain

担当者さんに図を見せながら計算して説明した。

 

一通り伝えたが納得しましたという言葉より説明が担当者さんから入る。

担当者さん「私はこう…考えてました。」

【担当者さんの考えてたこと】

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私は便器を部屋の中央に置かない前提で計算をし、担当者さんは半分という私の発言から便器が中央にきた場合の計算をしていた。

担当者さんに私の希望が伝わってなかったようだ。

 

根本的解決をした所で改めて、細かな数字の変更を伝えながら担当者さんが書いていった。

【正書】

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担当者さん「中央が430mmに変更になりましたので、そこから65.65mmの…。」

私    「65.65ってどこから出てきた数字ですか?」

担当者さん「部屋の本来の中央495.65から430引くと65.65mmが出ますので。」

私    「ああー、そんな考えもあるんですね。思いつきもしない。さすがに…凄いですね。」

担当者さん「そんな事ないですよ!」

担当者さんから満面の笑みがこぼれた。

よく漫画で使われる表現の……。

ぱぁぁー!(*´▽`*)

というものが現実にあったとしたらまさしくそれだと思う。

声のトーンも1オクターブ上がった明るい調子であった。

 

担当者さん「とすれば……あ、字間違った。いや、大丈夫か?」

軽快な独り言とともに打合せシートにトイレの変更点を記入していく。

 

(突然、テンションアップ…。)

 

持って来てくれた照明とコンセントの配置図の簡単な変更点を説明する担当者さん。

担当者さん「ちょっと、そちらを…。」

遠くに積み重なってるカタログに視線を送りながら話したので、取って欲しいという事だと思ってカタログに手をかけた。

担当者さん「私のこれが合っていれば…。」

担当者さんに手渡しした。

担当者さん「よしっ!」

受け取りの掛け声も軽やかにカタログをパラパラとめくる担当者さんの手。

担当者さん「ダウンライト、717ページですね?それの261…。」

軽快な独り言のようなトークは終わらない。

 

(65.65mmの件で感心してから、なんというテンションの変わりよう…。)

 

 

2021年9月13日

私は休暇中だった。朝一、担当者さんに電話での相談をお願いした。

 

私    「寝室の照明について、相談させてください。お時間取れそうなら教えてください。」

担当者さん「のちほどこちらからご連絡します。」

 

数時間後、電話での打合せをした。

会話の中で今度行う上棟式の神様の話が出た。

 

担当者さん「上棟式の神様は女性の神様なので、〇〇さん(私の名前)は中に入れません。ご了承ください。女性が入ると嫉妬するという言い伝えがあるんです。」

 

へーと思った。と、同時にこうも思った。

 

(なんじゃ、その女の神様。嫉妬ってなによ。)

相手の女性を嫉妬させない為に合わせなきゃいけない事に、同じ女性として従いたくない感情が湧き出る。

思わず、担当者さんに神様への暴言を吐いてしまった。

担当者さんは否定も肯定もせず聞き、少しやり取りがあってから電話を切った。

 

切った後で、ふつふつと後悔が出てきた。

(神様への暴言のせいで、家造りに災難が起きたらどうしよう・・・・。)

すぐに担当者さんにLINEした。

 

私    「上棟式の女性の神様、切り捨て発言は暴言でした。反省。。。神様、怒ってないですよね?」

 

担当者さん「怒ってないと思いますよ。神様はそのぐらいで怒るような器の小さいお方とは思えないです。」

すぐに返してくれた優しい回答。

 

私    「ありがとうございます。大工さんと担当者さんと施主の主人の無事を私からも神様にお頼みします。…神様、ごめんなさい。」

 

担当者さん「ありがとうございます。」

 

 

神様への謝罪のLINEでさえ真面目に答えてくれる担当者さんは、そう世の中にいない気がする。

 

私の担当者さんは機嫌を損ねたり上がったり。

 

だけど相手を包み込むような優しい人。

 

そのままのあなたでいてほしい人。

 

 

 

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35.心配しないで、大丈夫

                                                                  

2021年9月5日

祖母が亡くなった。

 

午前中、ブログを書いていた時に兄からLINEで連絡がきた。

 

兄    『本日、婆さんが他界しました。』

 

すぐ返信すべきところなのはわかってる。

だけど、私はこれに連絡を取れない。

 

昔、起きたことが頭を駆けぬけ私の行動を防ぐ。

 

(ばっちゃん、ごめん。)

 

私には動けない私だけの理由があった。

 

 

数時間後、兄に連絡した。夕方になる一歩出前の時刻まできていた。

 

私    「ばっちゃんは何処にいる?」

 

兄    「〇〇市の〇〇堂にある霊安室にいる。」

 

私    「私一人、今から行ったら会うことはできる?」

 

兄    「俺が鍵を持ってるが、葬儀屋の方で誰かいれば入れるかもしれないが…

。」

 

私    「わかった。ありがとう。連絡してみます。」

 

すぐに電話すると運良くまだ葬儀屋には人がいた。

 

霊安室に到着すると係の方が入り口で中へと誘導してくれた。

 

こんな時の礼儀などはまだ知らない。

知らないけども自分の良心とそこにばっちゃんが眠っていることから導き出した行動をする。

 

玄関で一礼して、中へ入る。

 

係の方  「どうぞお水を上げてください。お顔を見るのは…できますか?」

 

私    「はい。」

 

横になって眠る祖母の顔にかけられた白い布を外す。

 

(キレイな顔だ…。)

 

水を飲ます。

 

(まだ元気に生きてた時と変わらない。)

 

祖母の顔からは苦しさが感じられなかった。頬はふっくらしていて、髪もフサフサと柔らかい白髪頭で。

 

良かった。苦しくなくいけたか…。)

 

後ろの部屋では係の方が終わるのを待ってくれていた。

 

(こんな時、何と言葉をかけたら何をしたらいいのだろう?)

 

人の最期、お別れはどうすればいいのかがわからない。

どうしたいかも自身の考えも持たずやってきた。

ただ、手元にあるのは咄嗟に手に取ってきた私の家の外観図だけ。

 

(今、私とばっちゃんしかいない。話そう。)

 

家の外観図を膝の前に広げて、そこに向かい合って座るばっちゃんがいると思って話す。生前、まだ実家にいた頃、色んな話を聞いてもらった時のように。

 

会話は誰も入ってこない、私とばっちゃんの心の中で。

 

〖家を建てます。自分の家を建ててるところ。だから心配しないで。

ちゃんとやれてます。仕事も行けてます。

私、しっかりしてませんか?今、沢山の良い人間関係に恵まれてます。いい人達が側にいます。

だから心配ないです。これだけしっかり出来てます。〗

 

家を建てることを伝えたら、きっと安心すると思った。

何より祖母に自慢したかった。

そして、人の中で上手くやれなかった私はもう違うのだと見て欲しかった。

 

祖母の顔を触る。

(そんなに冷たくも固くもない。)

あまり死んでる実感がなかった。

喉ぼとけのすぐ下に手を置いた。まるで祖母はただ眠っているだけのように、私の目には寝息を出しながらゆっくりと動く心臓が見える。

(生きてる?・・・・・。)

そんな訳ないのに、何度も手を置いて確かめてみると、やっぱり肩がゆっくり動いてるように見える。

生き返ってほしくてやってるわけではないけど、手を当てる度、祖母の安らかな眠りを見てる気がして優しいものが流れてくるようだった。

 

〖ばっちゃん……。苦しまなかったですか?辛いことはなかったですか?あなたの人生は良かったですか?

きっとばっちゃんは好きなように楽しく生きてきた人だから、先にいる祖父の所に辿り着くまでの間、あちこち立ち寄って楽しく歩いていくでしょうね。それでいいですよね。あなたらしくていい。

私もそんな似ている部分がある気もします。〗

 

白い髪を撫でる。

 

〖私はこの先もしっかり生きていきます。心配しないで、大丈夫。〗

 

祖母と話は出来たが、どのタイミングで帰るのかピンとこない。

ピンとこないのは、お別れ方を知らないからだ。

もう最期となる祖母との接触

係の方が待つなか、いつまでもここに居られない。考えた。深く深く考えて、そして思いつく。

 

〖ばっちゃんが穏やかに死後の世界でいることを、あなたが平穏無事でいられるように祈ります。神様か仏様か……ばっちゃんをお守りしてもらうため伝えます。安らかにいられるように私がしっかり祈ります。強く祈りますから、大丈夫だから。〗

 

姿勢を正し、眉間の前に手を合わせて目を閉じる。

祖母の幸せを見えない上の偉い方と運命に祈った。

 

〖私、愛ってものを与える人になってるの。きっとそれが私という人間なの。それを最近、沢山の良い人間と出会ってわかったの。私の念は強いから、きっとあなたを救います。〗

 

 

そして祖母から離れることができた。

お別れが出来るようになった自分を誇らしく思えた。

何をやっても納得できる生き方が出来ずに苦しんだ期間が長かったから、この行動が出来たこと、本当に誇りに思える。

 

人と仲良くする事が出来ず、その内自分がどんな人間だったかも忘れ、自信も失くした私のこれまでの十何年間。

家造りがきっかけで、ようやく”私”を取り戻すことが出来た今。

 

涙と鼻水、隠してくれるマスクをこんなに有難い存在と思ったことはなかった。

 

 

 

2021年9月8日

火葬場に立つ。

残念ながら焼かれる前の祖母に会うことは叶わなかった。

 

他の親族と待合室で火葬が終わるのを待っている兄に話しかけた。

 

私    「さて、ばっちゃんとBTS、一緒に聴いて来ようかな。」

兄    「ああ?BTS??何だそれ。」

私    「BTSよ。いっつも聴いてる。ばっちゃんと一緒に聴きながら話でもしてくる。」

 

親族の方の一人が兄に「韓国のアイドルだよ。」と説明しいているのを見ながら、耳にイヤホンをかけスマホをポケットにしまいフワリと席から離れた。

 

火葬場で焼かれている祖母の顔の大きな写真を眺めながら、BTSを再生する。

 

耳元のイヤホンから曲が流れてる。私はばっちゃんと一緒に聴いている。

 

〖今好きなアーティスト。いいでしょ?気持ちが上がるから一緒に聞こう、ばっちゃん。〗

 

私の好きな曲を聞いてもらいながら、変われた私の毎日の姿をばっちゃんに届くように頭の中の記憶のフィルムに流してみる。

 

〖見えますか?私の姿が。職場の声をかけてくれる皆んなから優しいナイト様までいてね…、そこで振る舞う私の姿はこんな感じです。

素敵な出会いをした工務店の方もいます。家を造ってる私はびっくりするほどの行動力です。とんでもない事が起きてます。

これが、変わることが出来た私の周りの世界です。今、私の目に映ってる世界はこんなにも輝いてるから。〗

 

    だから、心配しないで。

 

亡くなる3日前に兄から送られてきた祖母のビデオ再生には、私の名前を何度か呼びかける姿があった。

その時はもって一週間か十日と言われた。

あのビデオに映る祖母の顔からお別れの日がこんなにも早く来るなんて思いもしなかった。

「こんなに元気だし、まだまだ死なないと思う。」

そんな事を夫に言った私は間違っていた。

後からまた祖母のビデオ再生をした時に気になった部分があった。私の名前を読んで、そして防ぎがちに目を向けたところでビデオはストップしていた。

 

    心配しないで、ばっちゃん。私は大丈夫。

 

 

それを伝える事がとても重要なのだと思って、直接言うことは叶わなくなった祖母の心に届かせるため何度も呼びかける。

 

 

お家が出来たら、またばっちゃんの事思い出して、じっちゃんも一緒に思い出して、私のお家が2人に見えるようにしっかり心で届けよう。

 

 

 

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